第20回 言語聴覚士国家試験 第84問
運動障害性構音障害第20回
運動障害性構音障害の訓練として適切でないのはどれか。
- 1.補装具を利用する。
- 2.構音器官の運動範囲を拡大させる。
- 3.プロソディを強調する。
- 4.発声機能の改善を図る。
- 5.初期から発話速度を上昇させる。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 初期から発話速度を上昇させる。
運動障害性構音障害の訓練では、初期段階では発話速度を低下させることが原則です。遅い速度で正確な構音を確立してから、徐々に速度を上げていくというアプローチが標準的です。初期から発話速度を上昇させることは、構音精度の低下や代償戦略の定着につながるため不適切です。
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【各選択肢の解説】
1. 補装具を利用する。
✅ 正しい。構音器官の障害に応じて、口腔内装具や舌圧迫板などの補装具を活用することは有効な訓練・対応方法です。特に舌運動の制限がある場合に有用です。
2. 構音器官の運動範囲を拡大させる。
✅ 正しい。運動障害性構音障害では、舌・唇・顎などの可動性が低下していることが多いため、構音器官の運動範囲の拡大訓練(ROM訓練)は基本的な治療戦略です。
3. プロソディを強調する。
✅ 正しい。韻律(ピッチ・音量・速度)を誇張・強調することで、聞き手の理解度が向上し、同時に呼吸制御や発声機能の改善にもつながります。
4. 発声機能の改善を図る。
✅ 正しい。特に痙性麻痺や弛緩性麻痺では声帯機能障害を伴うことが多いため、発声機能の改善(張力調整訓練、呼気流制御など)は重要な訓練要素です。
5. 初期から発話速度を上昇させる。
❌ 誤り。運動障害性構音障害の訓練の原則は「遅い速度での正確な構音確立→徐々に速度向上」です。初期から速度を上げると代償戦略が固定化し、長期的な予後が悪化します。
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【試験対策ポイント】
運動障害性構音障害の訓練原則
| 訓練段階 | 発話速度 | 主な目標 | 主な手法 |
|---|---|---|---|
| 初期 | 遅い(意識的に低下) | 正確な構音確立 | ROM訓練・音韻訓練 |
| 中期 | 低→中 | 速度との精度バランス | 反復訓練・会話訓練 |
| 後期 | 段階的上昇 | 実用的な発話速度獲得 | リード法・自動化訓練 |
重要な否定知識
- 初期から速度を上げない(誤った代償戦略の定着を防ぐ)
- 訓練効果は「速さ」ではなく「理解度向上」と「構音精度」で評価
運動障害性構音障害の訓練要素(5択に頻出)
- 構音器官の可動性改善:ROM訓練
- 呼吸制御:腹式呼吸、呼気管理
- 発声機能:張力調整、音声トレーニング
- プロソディ:韻律の誇張・強調
- 代替コミュニケーション:補装具・AAC