第20回 言語聴覚士国家試験 第82問
神経系第20回
構音器官の運動に関与しない神経はどれか。
- 1.三叉神経
- 2.顔面神経
- 3.舌下神経
- 4.迷走神経
- 5.舌神経 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 舌神経
舌神経は舌の前2/3の味覚と触覚などの知覚を担当する感覚神経であり、構音器官の運動制御には関与しません。構音に関わる1~4番は全て運動機能(あるいは運動を含む混合機能)を持ちます。
---
【各選択肢の解説】
1. 三叉神経(V脳神経)
✅ 正しい。咀嚼筋(咬筋・側頭筋・内側翼突筋・外側翼突筋)を支配する下顎神経が含まれ、下顎の運動と構音に直接関与します。
2. 顔面神経(VII脳神経)
✅ 正しい。口輪筋・頬筋などの表情筋を支配し、唇の運動に関与します。構音時の唇の位置決めと動きに不可欠です。
3. 舌下神経(XII脳神経)
✅ 正しい。舌筋(内舌筋・外舌筋)を支配する運動神経で、舌の位置と形態変化に関与します。舌音(/t/, /d/, /n/ など)の構音に最も重要です。
4. 迷走神経(X脳神経)
✅ 正しい。咽頭筋・喉頭筋を支配し、声帯の外転・内転、共鳴腔の調整に関与します。特に反回神経枝が内喉頭筋の大部分を支配します。
5. 舌神経(V脳神経の枝)
❌ 誤り。舌の前2/3の味覚(鼓索経由)と一般知覚(触覚・温覚・痛覚)を担当する感覚神経です。舌の筋肉を支配しないため、構音の運動制御には関与しません。
---
【試験対策ポイント】
構音に関わる脳神経と機能:
| 脳神経 | 神経枝/支配筋 | 構音における役割 |
|---|---|---|
| V(三叉神経) | 下顎神経→咀嚼筋 | 下顎運動・咬合位置決め |
| VII(顔面神経) | 口輪筋・頬筋など | 唇の開閉・位置制御 |
| IX(舌咽神経) | 上咽頭収縮筋・咽頭挙上 | 咽頭の狭窄・共鳴 |
| X(迷走神経) | 喉頭筋・咽頭筋 | 声帯動き・共鳴腔制御 |
| XII(舌下神経) | 舌筋(外舌筋・内舌筋) | 舌位置・舌形態変化 |
舌神経が「感覚神経=運動に関与しない」という点が正答根拠。舌の「運動支配」は舌下神経(XII)の専権。舌神経は舌前2/3の味覚・知覚のみ。