STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第23回 言語聴覚士国家試験 第171問

言語発達障害学第23回
5歳の男児。コミュニケーション態度は良好。言語理解は単語レベルで、語連鎖は理解困難。音声による有意味語がない。指導で重点をおくのはどれか。 a.語彙の拡大 b.語連鎖の受信の獲得 c.音声発信・発信行動の獲得 d.事物名称の受信の獲得 e.事物の基礎概念の拡大 1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e

正答:1番

解説
■ 正答:1番 — a,b,c(語彙の拡大、語連鎖の受信の獲得、音声発信・発信行動の獲得) この症例の重点指導項目を選択するには、児の発達段階と現在の機能レベルを正確に把握することが必須です。児は「言語理解は単語レベル」「語連鎖は理解困難」「有意味語がない」という状態にあります。つまり、単語理解はある程度できているため、その上位段階である「語連鎖の理解」と、最も欠落している「音声による発信行動」の獲得が最優先です。さらに理解と発信の基盤となる語彙の拡大も必須です。 --- 【各選択肢の解説】 a. 語彙の拡大 ✅ 正しい。児は単語レベルの理解があるため、その基盤となる語彙を増やすことで、語連鎖理解への準備と発信語彙の拡大につながる。言語発達の階段的過程では、語彙増加は理解語彙→発信語彙へ進む必須段階。 b. 語連鎖の受信の獲得 ✅ 正しい。児は「単語レベル」の理解は可能だが「語連鎖は理解困難」と明記されている。2語文~文レベルの理解獲得は、発信行動につながる前段階として重要。受信能力がなければ発信の模倣も困難。 c. 音声発信・発信行動の獲得 ✅ 正しい。「有意味語がない」という記述が最大の問題点。コミュニケーション態度は良好であり、動機付けは存在するため、音声による発信行動の開発は最優先課題。発信がなければ言語発達は停滞。 d. 事物名称の受信の獲得 ❌ 誤り。児は既に「単語レベルの言語理解」があるため、事物名称(単語)の受信習得は基本的には達成されている。優先順位は低い。 e. 事物の基礎概念の拡大 ❌ 誤り。概念拡大は、ある程度の語彙と表現能力がある児に対する段階である。この児は発信語彙がゼロの状態であり、概念学習よりも実行可能な音声発信の基礎獲得が先行すべき。 --- 【試験対策ポイント】 言語発達障害児の指導優先順位の判断軸 | 児の状態 | 優先度の低い指導 | 優先度の高い指導 | |---|---|---| | 理解語彙あり/発信語彙なし | 基礎的受信学習(既習) | 発信行動の開発 | | 単語理解OK/文理解困難 | 単語反復学習 | 語連鎖の理解獲得 | | 健全な動機付けあり | 外発的動機付け | 獲得行動の強化 | | 有意味語なし | 音韻・構音訓練のみ | コミュニケーション機能獲得 | 発達段階の理解が鍵:児の現状を「できていること」「できていないこと」で整理し、次の段階へのスモールステップを設定すること。この児は「受信基盤(単語)あり」「発信なし」「動機付けあり」という状態であり、語彙→語連鎖受信→音声発信というフローが妥当。
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