第24回 言語聴覚士国家試験 第76問
音声障害第24回
喉頭内視鏡所見を示す。この患者の音声の特徴として誤っているのはどれか。
- 1.無力性の増大 ✓
- 2.声域の狭小化
- 3.VHIスコアの高値
- 4.最長発声持続時間の短縮
- 5.声の高さのゆらぎの増大
正答:1番
解説
# 第24回 第76問 解説
■ 正答:1番 — 無力性の増大
喉頭内視鏡所見から一側性反回神経麻痺による声帯麻痺が示唆されます。声帯の内転不全により声門閉鎖不全が生じ、典型的には**気息性嗄声**を呈します。「無力性」は声帯振動のエネルギーが弱く音圧が低下する性質を指しますが、反回神経麻痺の主たる音声特徴は気息性であり、無力性の「増大」を中心症状とするわけではありません。よって1が誤りです。
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【各選択肢の解説】
1. 無力性の増大
❌ 誤り。反回神経麻痺の主症状は声門閉鎖不全による**気息性嗄声**であり、「無力性」が中心的特徴ではありません。無力性嗄声は重症筋無力症など神経筋疾患でみられる、発声を続けると音声が弱まる現象を指し、声帯麻痺の典型像とは区別されます。
2. 声域の狭小化
✅ 正しい。声帯の運動性低下により声帯張力の調整が困難となり、高音域・低音域とも発声範囲が制限され、声域が狭小化します。
3. VHIスコアの高値
✅ 正しい。VHI(Voice Handicap Index)は音声障害が日常生活・心理・身体面に与える影響を自己評価する指標です。気息性嗄声により会話が伝わりにくく、患者の主観的障害感は強く、スコアは高値となります。
4. 最長発声持続時間の短縮
✅ 正しい。声門閉鎖不全により呼気が漏出しやすく、効率的な発声ができないため、最長発声持続時間(MPT)は短縮します。健常成人は男性30秒前後、女性20秒前後ですが、声帯麻痺では10秒以下となることも珍しくありません。
5. 声の高さのゆらぎの増大
✅ 正しい。左右の声帯の振動が非対称となり、基本周波数(F0)が不安定化するため、**ジッタ(周期変動)**が増大し、声の高さのゆらぎが大きくなります。
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【試験対策ポイント】
**反回神経麻痺の音声特徴(典型像)**:
- 主症状:**気息性嗄声**(声門閉鎖不全による呼気漏出)
- MPT:**短縮**
- 声域:**狭小化**
- ジッタ・シマー:**増大**
- VHI:**高値**
- 平均呼気流率(MFR):**増大**
**嗄声の質の区別(GRBAS尺度)**:
- **G**(Grade):全体的な嗄声の程度
- **R**(Rough):粗糙性 → 声帯振動の不規則性
- **B**(Breathy):**気息性** → 声門閉鎖不全(反回神経麻痺の主特徴)
- **A**(Asthenic):**無力性** → 声帯振動の弱さ(神経筋疾患など)
- **S**(Strained):努力性 → 過緊張性発声
反回神経麻痺では **B(気息性)が主体**であり、**A(無力性)ではない**点が頻出ポイントです。