第25回 言語聴覚士国家試験 第136問
音声学第25回
日本語方言の音声について正しいのはどれか
a.どの方言にも母音と子音とが存在する
b.平均的な母音の分布は方言によらず同じである
c.母音の無声化は方言によらず頻度が同じである
d.アクセントの単位は方言によらずモーラである
e.アクセントのない方言も存在する
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — a,e
日本語方言を音声学的に分析する際、すべての方言が母音と子音を有することは基本的事実です。また、アクセント体系は方言により異なり、アクセント対立を持たない方言(無アクセント方言)が実際に存在することが確認されています。これらが正しい知識です。
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【各選択肢の解説】
a. どの方言にも母音と子音とが存在する
✅ 正しい。すべての日本語方言は母音と子音の2つの音韻的単位を有しており、これは言語の最小分析単位として普遍的です。方言による音韻体系の差異(母音数の違いなど)は存在しますが、両音韻が存在しないという方言は存在しません。
b. 平均的な母音の分布は方言によらず同じである
❌ 誤り。フォルマント周波数で測定した母音の音響的位置は、方言によって明らかに異なります。例えば東京方言と関西方言では/a/や/o/の音響位置が異なることが観測されています。方言による音声実現の多様性は音声学の基本知見です。
c. 母音の無声化は方言によらず頻度が同じである
❌ 誤り。母音の無声化の頻度は方言によって大きく異なります。東京方言では/i/と/u/の無声化が比較的頻繁ですが、方言によっては無声化現象が極めて少ないか存在しないこともあります。これは方言の音韻的・音声的特徴の重要な差異です。
d. アクセントの単位は方言によらずモーラである
❌ 誤り。日本語方言のアクセント体系は多様です。確かに多くの方言でモーラが単位となっていますが、すべての方言がこれに従うわけではなく、体系によって異なる単位を基本とする方言が存在する可能性があります。また「単位がモーラである」という仮定の普遍性は保証されません。
e. アクセントのない方言も存在する
✅ 正しい。京都方言や大阪方言の一部など、アクセント対立(高低の区別)を持たない無アクセント方言が日本には実在します。これらの方言では音高変化がイントネーションとしてのみ機能し、アクセントという音韻的対立機能を果たしません。
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【試験対策ポイント】
方言の音声的特性(よくある混同)
| 項目 | 正誤判定 | 根拠 |
|---|---|---|
| すべての方言が母音と子音をもつ | ✅ 正 | 言語普遍的な音韻単位 |
| 母音フォルマント周波数は同一 | ❌ 誤 | 方言ごとに異なる |
| 無声化頻度は統一 | ❌ 誤 | 方言差が著しい |
| アクセント単位はモーラ(全方言) | ❌ 誤 | 体系の多様性を無視 |
| 無アクセント方言の存在 | ✅ 正 | 近畿地方の方言に典型 |
試験頻出:「方言の多様性」と「言語普遍性」の区別
- 普遍的:音韻カテゴリー(母音・子音の存在)
- 方言差あり:音響的実現・音韻体系・アクセント体系