第26回 言語聴覚士国家試験 第44問
言語学第26回
「嬉しゅうございます」を「嬉しいでございます」と言う人がいる場合、説明として誤っているのはどれか。
- 1.ウ音便を避けた。
- 2.引用形式を用いた。
- 3.助詞を補った。 ✓
- 4.新たな尊敬語ができた。 ✓
- 5.単純化した。
正答:3・4番
解説
# 第26回 第44問 解説
⚠️ この問題は3番と4番が正答として処理されています。
■ 正答:3番・4番(複数正答) — 「助詞を補った。」および「新たな尊敬語ができた。」
「嬉しゅうございます」(正規の丁寧表現)を「嬉しいでございます」と言う言語変化についての問題です。「嬉しゅうございます」は形容詞連用形「嬉しく」のウ音便形「嬉しゅう」に「ございます」が接続した形ですが、「嬉しいでございます」は終止形「嬉しい」に「で」を介して「ございます」が接続しています。選択肢3「助詞を補った」は、「で」を助詞と解釈するか助動詞「だ」の連用形(コピュラ)と解釈するかで見解が分かれるため不備となり、選択肢4「新たな尊敬語ができた」は丁寧語の変容であって尊敬語ではないため誤りであり、両者が正答として認められました。
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【各選択肢の解説】
1. ウ音便を避けた。
✅ 正しい説明。「嬉しく+ございます」→「嬉しゅうございます」というウ音便を経ずに、終止形「嬉しい」をそのまま用いています。よって誤りの説明ではありません。
2. 引用形式を用いた。
✅ 正しい説明(といえる)。「嬉しい」という終止形をいったん独立させ、それを受けて「でございます」をつなげる構造は、引用的に形容詞句を提示する形式と解釈できます。
3. 助詞を補った。
❌ 誤り(正答)。「で」は助動詞「だ」の連用形(コピュラ)と分析されるのが一般的であり、単純な「助詞の補充」とはいえません。ただし解釈に余地があり、出題不備として正答扱いとなりました。
4. 新たな尊敬語ができた。
❌ 誤り(正答)。「ございます」は**丁寧語**であり、尊敬語ではありません。「嬉しいでございます」は丁寧語の用法の変化にすぎず、尊敬語が新たに生まれたわけではありません。
5. 単純化した。
✅ 正しい説明。ウ音便という音韻変化を経ず、終止形のまま接続する形に変わっているため、活用体系の単純化(規則化)が起きているといえます。
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【試験対策ポイント】
日本語の**音便**(ウ音便・イ音便・促音便・撥音便)は言語学の頻出項目。形容詞のウ音便(高く→高う、嬉しく→嬉しゅう)は現代語では衰退しつつあり、「嬉しいです」「嬉しいでございます」のような終止形+コピュラ形式への置き換えが進んでいます。
敬語は**尊敬語・謙譲語・丁寧語**の3分類(または文化審議会の5分類:尊敬語・謙譲語Ⅰ・謙譲語Ⅱ・丁寧語・美化語)の区別が重要。「ございます」は**丁寧語**であり尊敬語ではない、という区別は国試頻出ポイント。