第28回 言語聴覚士国家試験 第45問
言語学第28回
「ない」が助動詞でないのはどれか。
- 1.変わらない
- 2.書かない
- 3.つまらない ✓
- 4.落ち着かない
- 5.動かない
正答:3番
解説
# 第28回 第45問 解説
■ 正答:3番 — つまらない
「ない」の品詞を判定する問題です。「ない」には**助動詞としての用法**と**接尾辞(派生形態素)としての用法**があり、この違いを区別することが重要です。
3番「つまらない」の「ない」は、形容詞の語根「つまら」に接尾辞「ない」が結合したもので、既に完成した形容詞です。**助動詞ではなく、接尾辞として機能しています**。
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【各選択肢の解説】
1. 変わらない
✅ 助動詞。「変わる」(五段活用動詞)の連用形「変わら」に、助動詞「ない」(打消)が接続しています。動詞+助動詞の文法構造。
2. 書かない
✅ 助動詞。「書く」(五段活用動詞)の未然形「書か」に、助動詞「ない」が接続。「~ない」の形は典型的な動詞+打消の助動詞パターンです。
3. つまらない
❌ 接尾辞。「つまら」は語根(独立性が極めて低い形態素)であり、「ない」は接尾辞として結合しています。形容詞「つまらない」はこれ以上分解できない一つの派生形容詞です。同様に「面白い」「美しい」など、既成の形容詞に含まれる「い」は接尾辞であり、活用助動詞ではありません。
4. 落ち着かない
✅ 助動詞。「落ち着く」(カ行五段活用動詞)の未然形「落ち着か」に助動詞「ない」が接続。動詞+助動詞の構造。
5. 動かない
✅ 助動詞。「動く」(五段活用動詞)の未然形「動か」に助動詞「ない」が接続。
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【試験対策ポイント】
**「ない」の品詞判定の要点**:
| 判定基準 | 助動詞「ない」 | 接尾辞「ない」 |
|---|---|---|
| 接続先 | **動詞の未然形**(「~ない」で活用する) | 形容詞の語根や名詞(分解不可の固定形) |
| 活用可能性 | あり。「ない・なかろう・なかった」と活用 | なし。派生形容詞のため活用しない |
| 意味機能 | 打消の意味を付与 | 派生語としての意味(「つまらない」は本来「つまらぬ」から派生) |
| 具体例 | 「読ま**ない**」「来**ない**」「食べ**ない**」 | 「つまら**ない**」「みにくい」「やりにくい」 |
**覚え方**:「~ない」の形で、**その前の部分が独立した動詞として機能するかどうか**を確認します。
- 「変わる」は独立動詞 → 「ない」は助動詞
- 「つまら」は独立不可(単独では語として成立しない) → 「ない」は接尾辞
この区別は、活用形の分析や敬語化の可能性(「つまりません」は形容詞の丁寧形)にも影響するため、言語学の基礎として重要です。