第27回 言語聴覚士国家試験 第140問
音響学第27回
サウンドスペクトログラムの広帯域分析の説明で正しいのはどれか
a.グロッタルバルス間隔を観察することで声の高さ変化を推定できる。
b.ボイスバーを手がかりに有声子音と無声子音との分類ができる。
c.調波構造の観測に適する。
d.精密な周波数分析に適する。
e.時間分解能が低い。
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — a,b
広帯域スペクトログラムは、時間軸に高い分解能を持ち、グロッタルバルス(声帯振動による1周期ごとの圧力変化)を個別に観察できるため、声の基本周波数(F0)の変化をリアルタイムで推定することが可能です。また、有声音では声帯振動を示すボイスバー(連続的な濃い帯状の構造)が出現するのに対し、無声子音ではこれが消失するため、両者の分類に有効な手がかりとなります。
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【各選択肢の解説】
a. グロッタルバルス間隔を観察することで声の高さ変化を推定できる。
✅ 正しい。広帯域分析では時間軸の分解能が高いため、グロッタルパルスの間隔(周期)を明確に観察でき、その逆数から基本周波数F0を推定できます。周期が短い=高い音、周期が長い=低い音です。
b. ボイスバーを手がかりに有声子音と無声子音との分類ができる。
✅ 正しい。ボイスバーは声帯振動のエネルギーを反映し、有声音では低周波数(約0~3kHz)に現れます。無声子音ではボイスバーが消失し、代わりに広がったノイズ成分が見られるため、有無声の判別が可能です。
c. 調波構造の観測に適する。
❌ 誤り。むしろ狭帯域分析(フィルター帯域幅が狭い)が調波構造(ハーモニクス)の観測に適しています。広帯域はフィルター帯域幅が広いため、周波数軸の分解能が低く、調波が個別に見えにくいです。
d. 精密な周波数分析に適する。
❌ 誤り。広帯域分析はフィルター帯域幅が広い(約250~300Hz)ため、周波数軸の分解能が低く、精密な周波数分析には不向きです。精密な周波数分析は狭帯域分析(帯域幅約45~50Hz)に適しています。
e. 時間分解能が低い。
❌ 誤り。広帯域分析は、フィルター帯域幅が広いため、時間軸の分解能が高く(時間軸で鋭い)、時間分解能が優れています。対して狭帯域は時間分解能が低い(時間軸がぼやけた)です。
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【試験対策ポイント】
スペクトログラム分析:広帯域 vs 狭帯域の使い分け
| 項目 | 広帯域分析 | 狭帯域分析 |
|---|---|---|
| フィルター帯域幅 | 広い(250~300Hz) | 狭い(45~50Hz) |
| 時間軸分解能 | 高い(優れている) | 低い(劣る) |
| 周波数軸分解能 | 低い(劣る) | 高い(優れている) |
| 観察対象 | グロッタルパルス、F0の時間変化 | 調波構造、フォルマント |
| ボイスバーの見え方 | 明確に見える | 見えにくい |
広帯域:「グロッタルバルス=時間」を覚える
狭帯域:「調波構造=周波数」を覚える