STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第27回 言語聴覚士国家試験 第38問

音声学第27回
破擦音が破裂音と異なる点はどれか。
  1. 1.有声にならない
  2. 2.構音位置が2か所ある
  3. 3.閉鎖区間が存在しない
  4. 4.閉鎖の開放がゆっくりと行われる ✓
  5. 5.閉鎖の開放後に声帯振動が早く始まる

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — 閉鎖の開放がゆっくりと行われる 破擦音は破裂音と同じく「閉鎖相」を持ちますが、その開放方法が根本的に異なります。破裂音は閉鎖を急速に開放するのに対し、破擦音は開放時に狭い通路を形成し、そこを気流が通過する際に摩擦音的な特性を獲得します。この「ゆっくりとした段階的な開放」が、破裂音と破擦音を区別する最大の特徴です。 --- 【各選択肢の解説】 1. 有声にならない ❌ 誤り。破擦音にも有声破擦音(/dʒ/)と無声破擦音(/tʃ/)が存在します。有声性は音の性質ではなく、声帯の振動の有無で決まり、破裂音・破擦音両方に当てはまります。 2. 構音位置が2か所ある ❌ 誤り。構音位置(例:歯茎、歯茎後部など)は通常1か所です。破擦音は構音位置が2か所あるのではなく、「1つの構音位置で閉鎖と狭い開放を行う」という特徴を持ちます。混同しやすい誤りです。 3. 閉鎖区間が存在しない ❌ 誤り。破擦音には閉鎖区間が存在します。むしろ破裂音と同様に「閉鎖相」を持つことが共通点です。差異は開放の方法であり、閉鎖の有無ではありません。 4. 閉鎖の開放がゆっくりと行われる ✅ 正しい。破擦音の定義的特徴です。破裂音は閉鎖位置が一瞬で開き、気流が急速に放出されます。一方、破擦音は同じ位置で閉鎖したままの形態を保ちながら開放し、その際に狭い隙間ができて摩擦音成分が生じます。このゆっくりした段階的な開放プロセスが破擦音の本質です。 5. 閉鎖の開放後に声帯振動が早く始まる ❌ 誤り。声帯振動の開始時間は有声性に関わる特性であり、破擦音と破裂音を区別する要因ではありません。同じ有声音であれば両者とも同時期に声帯振動が始まります。 --- 【試験対策ポイント】 破擦音と破裂音の比較表 | 特徴 | 破裂音 | 破擦音 | |---|---|---| | 閉鎖相 | あり | あり(同じ) | | 開放方法 | 急速(瞬時) | ゆっくり(段階的) | | 開放後の空気流 | 急速放出 | 狭い隙間を通過→摩擦音成分 | | 構音位置 | 1か所 | 1か所(同じ) | | 有声の有無 | あり・なし両方 | あり・なし両方 | | 日本語での例 | /p/,/t/,/k/,/b/,/d/,/g/ | /tʃ/(チ),/dʒ/(ジ),/ts/(ツ) | 破擦音の音響的特性 - 初期部分:破裂音的(瞬発的エネルギー) - 後期部分:摩擦音的(ノイズ成分) - 両特性を併せ持つ音 破擦音は「破裂音+摩擦音の複合」ではなく「ゆっくりした開放により生じる単一の音」と理解することが重要です。
関連

▶ 第27回 全問一覧

▶ 音声学 の過去問一覧