第27回 言語聴覚士国家試験 第39問
音声学第27回
共通語(東京方言)の母音と基本母音との組み合わせで近いのはどれか。
- 1.「ア」 ― [a]
- 2.「イ」 ― [i] ✓
- 3.「ウ」 ― [u]
- 4.「エ」 ― [e]
- 5.「オ」 ― [o]
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 「イ」 ― [i]
共通語(東京方言)の5つの母音は、国際音声記号(IPA)の基本母音とほぼ完全に対応します。特に「イ」と[i]、「ウ」と[u]、「オ」と[o]はきわめて近い音ですが、「ア」と「エ」は微妙な違いがあります。共通語では「エ」が[e]よりも[ɛ](より開いた音)に寄っていることが指摘されており、教科書的には[i]との対応が最も確実とされています。
---
【各選択肢の解説】
1. 「ア」 ― [a]
❌ 誤り。共通語の「ア」は[a]よりも中舌母音に近く、[ɑ]や[ʌ]に寄っていることが多いとされています。IPA基本母音との対応としては不正確です。
2. 「イ」 ― [i]
✅ 正しい。共通語の「イ」は前舌高母音[i]とほぼ完全に一致しており、IPA基本母音との対応がもっとも確実で正確です。
3. 「ウ」 ― [u]
❌ 誤り。「ウ」は[u]に非常に近いですが、共通語では唇の丸め度や舌の後退度が[u]より若干緩い傾向があり、厳密には完全一致とは言えません。
4. 「エ」 ― [e]
❌ 誤り。共通語の「エ」は[e]よりも開いた[ɛ]に近いとされており、基本母音[e]との対応には乖離があります。この点は東京方言の音韻体系の特徴として音声学教科書で言及される重要な違いです。
5. 「オ」 ― [o]
❌ 誤り。「オ」は[o]に近いですが、共通語では[o]よりも開いた[ɔ]に寄ることがあり、IPA基本母音との厳密な対応としては曖昧です。
---
【試験対策ポイント】
IPA基本母音と共通語母音の対応関係
| 共通語母音 | IPA対応 | 備考 |
|---|---|---|
| イ | [i] | 最も確実な対応 |
| ウ | [u] | ほぼ一致だが厳密には差あり |
| オ | [o] | [ɔ]に寄ることがある |
| エ | [e]→[ɛ] | 基本母音より開いている |
| ア | [a] | より中舌化している可能性 |
重要:音声学試験では「最も正確な対応」を問うため、「ほぼ近い」では不十分。「イ」―「[i]」の組み合わせが教科書的に最も精密な対応として認識されています。