STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第27回 言語聴覚士国家試験 第52問

言語聴覚障害総論第27回
障害者運動のスローガンである≪Nothing About Us /「私たちのことを私たち抜きに決めないで」≫に関係するのはどれか
  1. 1.障害者基本法
  2. 2.ICIDH(国際障害分類)
  3. 3.国際障害者年(1981年)
  4. 4.ICF
  5. 5.障害者の権利に関する条約 ✓

正答:5番

解説
■ 正答:5番 — 障害者の権利に関する条約 「私たちのことを私たち抜きに決めないで」というスローガンは、障害者権利条約(Convention on the Rights of Persons with Disabilities, 2006年採択)の基本理念を象徴しています。この条約は、当事者(障害者自身)の主体的な参加と意思決定を最大の原則とし、従来の「医学モデル」から「社会モデル」へのパラダイムシフトを明示した国際条約です。日本も2014年に批准しています。 --- 【各選択肢の解説】 1. 障害者基本法 ❌ 誤り。日本国内の障害者施策を定めた基本法ですが、このスローガンの国際的背景にはなりません。障害者権利条約の批准後に改正されて初めてこのスローガンを反映する内容になっています。 2. ICIDH(国際障害分類) ❌ 誤り。WHOが1980年に発表した医学モデル的分類です。むしろ「医学的判断」が中心であり、当事者の声を反映する枠組みではありませんでした。その後ICFへ改訂されました。 3. 国際障害者年(1981年) ❌ 誤り。障害者問題への国際的関心を高めるきっかけとなった啓発的な年号ですが、当事者参加の原則を規定した条約ではありません。 4. ICF(国際生活機能分類) ❌ 誤り。2001年にWHOが発表した分類で、「医学モデル」から「生活機能モデル」への転換を示していますが、あくまで分類ツールであり、条約のように当事者の権利や参加を規定する国際協定ではありません。 5. 障害者の権利に関する条約 ✅ 正しい。2006年国連採択。前文および第4条で「すべての障害者に影響を及ぼす事項について、障害者の参加なしにいかなる決定も下さない」と明記されています。このスローガンはこの条約の根本理念そのものです。 --- 【試験対策ポイント】 医学モデル vs 社会モデルの転換: | 概念 | 中心的思想 | 当事者参加 | |---|---|---| | ICIDH(1980) | 医学モデル(医学的判断重視) | 限定的 | | ICF(2001) | 生活機能モデル(環境との相互作用) | 限定的(分類ツール) | | 障害者権利条約(2006) | 社会モデル(構造的差別の除去) | 最優先原則(Nothing About Us Without Us) | キーワード: - 「Nothing About Us Without Us」=当事者主権・参加の原則 - 障害者権利条約は「権利宣言」=約束・規定性がある - ICIDHとICFは「分類」=記述ツール(規範性が低い) - 2006年採択、日本は2014年批准
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