第27回 言語聴覚士国家試験 第54問
言語聴覚障害総論第27回
日本語アクセントの異常をもたらすのはどれか
- 1.失調による声の高低の調節困難 ✓
- 2.機能性構音障害の促音化構音
- 3.心因性発声障害
- 4.失語症の音韻性錯語
- 5.吃音の繰り返し
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — 失調による声の高低の調節困難
失調性構音障害では小脳障害により「声の高低を精密に調節できなくなる」結果、アクセント曲線(ピッチパターン)が乱れ、日本語のアクセントが異常となります。これは個々の音の性質を変えるのではなく、音連鎖全体のプロソディ(韻律)が失われるという特徴的な症状です。
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【各選択肢の解説】
1. 失調による声の高低の調節困難
✅ 正しい。小脳性構音障害では音高(ピッチ)の微細な制御が障害されるため、日本語の標準的なアクセント曲線を形成できず、アクセント異常が生じます。これは言語機能自体の障害ではなく、運動制御の問題です。
2. 機能性構音障害の促音化構音
❌ 誤り。機能性構音障害は「特定の音素の置換・省略」など個々の音の発音障害であり、全体的なプロソディやアクセント曲線には直接影響しません。例えば「ラ行音がダ行音になる」といった音韻弁別の問題です。
3. 心因性発声障害
❌ 誤り。心因性発声障害は声帯の運動・緊張異常により音質(嗄声など)が変わりますが、アクセントの高低パターン自体は保たれます。発話の流暢性や音量に変化が生じることはあってもアクセント異常ではありません。
4. 失語症の音韻性錯語
❌ 誤り。音韻性錯語は「目標語を別の音系列に置き換える錯誤」(例:「みかん」→「みんかん」)で、個々の音の置換問題であり、全体のアクセント曲線とは関係がありません。
5. 吃音の繰り返し
❌ 誤り。吃音は音や音節の「繰り返し・引き伸ばし・ブロック」を特徴としますが、これは流暢性の障害です。アクセント曲線自体の異常ではなく、音の産出タイミングの問題です。
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【試験対策ポイント】
構音障害分類とプロソディ関連症状
| 類型 | 部位 | アクセント異常 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 痙性構音障害 | 両側錐体路 | なし | 努力性嗄声・硬さ |
| 弛緩性構音障害 | 脳神経核下 | なし | 開鼻声・気息性嗄声 |
| 失調性構音障害 | 小脳 | あり ★ | スキャニングスピーチ・断綴性 |
| 運動低下性 | 錐体外路 | なし | 単調・加速現象 |
| 混合性(ALS) | 多部位 | なし | 複合症状 |
キーワード整理
- アクセント異常=プロソディの障害=小脳機能の障害
- 失調性は「韻律」が乱れる(個々の音の正確さより、「全体のリズム・高低・強弱」が失われる)
- 言語的エラー(錯語・構音置換)≠ アクセント異常
紛らわしい項目の区別
- 「構音異常」と「アクセント異常」は次元が異なる
- 構音異常:/s/→/θ/のような個々の音素の問題
- アクセント異常:文全体のピッチカーブが不安定になる問題