第27回 言語聴覚士国家試験 第53問
言語聴覚障害総論第27回
ICFの構成要素と評価項目との組み合わせで正しいのはどれか
- 1.環境因子 ― 長期記憶
- 2.参加 ― 発話の流暢性
- 3.個人因子 ― 社会保障制度
- 4.活動 ― 遠隔通信用具の利用 ✓
- 5.心身機能・身体構造 ― 手話による表出と理解
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 活動 ― 遠隔通信用具の利用
ICFの「活動」は「個人が行う課題や行為」を指し、遠隔通信用具(電話・タブレットなど)の利用は、その人が実際に果たしている活動レベルの評価項目です。一方、用具そのものは「環境因子」ですが、その利用行為が「活動」として評価されます。
---
【各選択肢の解説】
1. 環境因子 ― 長期記憶
❌ 誤り。長期記憶は認知機能であり、「心身機能・身体構造」(脳の神経機能)に分類されます。環境因子は道具・支援者・制度など外部環境を指すもので、内的な認知機能は含まれません。
2. 参加 ― 発話の流暢性
❌ 誤り。発話の流暢性(スムーズさ)は「心身機能・身体構造」に分類される機能レベルの評価項目です。「参加」は実際の社会生活への関与(例:職場復帰、学校への就学)を指し、より高次のレベルの評価です。
3. 個人因子 ― 社会保障制度
❌ 誤り。社会保障制度は外部環境の制度的支援であり、「環境因子」に分類されます。個人因子は年齢・性別・ライフスタイルなど、その人自身の背景特性です。
4. 活動 ― 遠隔通信用具の利用
✅ 正しい。「活動」は個人が実行する課題(d分類)であり、遠隔通信用具を用いて他者と連絡を取る行為は、実際の生活活動です。用具は環境因子ですが、その利用行為が活動として評価されます。
5. 心身機能・身体構造 ― 手話による表出と理解
❌ 誤り。手話による表出と理解は実際の「コミュニケーション行動」であり、「活動」(d分類のd310:会話、d320:会話以外の受信など)に分類されます。心身機能・身体構造は、それを支える言語機能(b1670:語彙の理解など)の領域です。
---
【試験対策ポイント】
ICFの5構成要素の階層的整理:
| 構成要素 | 定義 | 評価例 |
|---|---|---|
| 心身機能・身体構造 | 脳の機能(認知・言語機能など)と身体の形態 | 語彙力、音韻体系、長期記憶 |
| 活動 | 個人が実行する課題や行為 | 会話、読書、遠隔通信利用、文字入力 |
| 参加 | 実際の人生場面における関与 | 職場勤務、家庭生活、社会交流 |
| 環境因子 | 外部環境(支援者・用具・制度・文化) | 補聴器、手話通訳、福祉制度、家族 |
| 個人因子 | その人自身の背景(年齢・性別・習慣) | 年齢層、職業、教育歴、生活様式 |
重要な区別法:
- 「用具」単独 → 環境因子
- 「用具を使う行為」 → 活動
- 「社会生活での実際の関わり」 → 参加
- 「その行為を支える脳機能」 → 心身機能
紛らわしい例:
- 「手話」は環境因子(利用可能な言語システム)か、活動か、心身機能か?
→ 「手話を理解する神経機能」=心身機能、「手話で会話する」=活動