STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第28回 言語聴覚士国家試験 第137問

音声学第28回
撥音と促音とに共通するのはどれか。 a.無声化する。 b.鼻音化する。 c.自立拍である。 d.逆行同化する。 e.音節末に現れる。 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:5番

解説
■ 正答:5番 — d,e 音声学において、撥音(ん:/N/)と促音(っ:/Q/)に共通する特徴を問う問題です。言語聴覚士の国家試験では、「拍(モーラ)」と「音節(シラブル)」の違いや、同化作用に関する理解が頻出します。 --- 【各選択肢の解説】 a. 無声化する。 ❌ 誤り。撥音(ん)は声を伴う有声音です。一方、促音(っ)は主に無声子音(p, t, k, sなど)の前に現れ、調音器官の構えを維持したまま息を止めるため基本的には無声音です。「無声化する」という特徴は撥音には当てはまらないため、共通の特徴とはいえません。 b. 鼻音化する。 ❌ 誤り。撥音(ん)は呼気を鼻腔に抜く鼻音ですが、促音(っ)は閉鎖音や摩擦音の「溜め」の音であり、鼻音ではありません。「鼻音化する」は撥音にのみ当てはまる特徴です。 c. 自立拍である。 ❌ 誤り。撥音も促音も「特殊拍(付属拍)」に分類されます。「か」「き」のように単独で発音でき語頭に立つことができる「自立拍」とは異なり、原則として直前の自立拍と結びついて発音されます。 d. 逆行同化する。 ✅ 正しい。撥音も促音も、後続する音(後ろの音)の影響を受けて自身の調音部位が変化します。後ろの音の影響が前の音に及ぶため「逆行同化」と呼びます。 ・撥音の例:さんま → [m](両唇音の前)、さんた → [n](歯茎音の前)、さんかく → [ŋ](軟口蓋音の前) ・促音の例:かっぱ → [p](両唇音の前)、きって → [t](歯茎音の前)、がっこう → [k](軟口蓋音の前) e. 音節末に現れる。 ✅ 正しい。日本語は「1拍(モーラ)=1音節」が基本ですが、特殊拍(撥音・促音・長音)が含まれる場合は例外となります。例えば「かん」は2拍ですが「か+ん」で1音節をつくり、このとき撥音は音節の最後(音節末・尾子音)に位置します。促音も同様に「がっ(gak)」の音節末に [k] として現れます。 --- 【試験対策ポイント】 順行同化と逆行同化の違い: ・逆行同化 → 後ろの音が前の音に影響(撥音・促音が代表例) ・順行同化 → 前の音が後ろの音に影響(母音の無声化など) 「後ろの音に引っ張られて前の音が変わる=逆行同化」とセットで覚えておくと確実です。また、特殊拍(撥音・促音・長音)はすべて付属拍であり、語頭に立てない・単独で音節を構成できないという共通点も押さえておきましょう。
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