第28回 言語聴覚士国家試験 第162問
高次脳機能障害第28回
左半側空間無視患者への対応で適切でないのはどれか。
- 1.訓練では右側を強調した刺激を用いる。 ✓
- 2.食事の様子を看護師から情報収集する。
- 3.呼びかけに気付いてほしいときは右側から声をかける。
- 4.左側の見落としやすさがあることを繰り返し説明する。
- 5.机上検査の成績と日常生活上の困難さとの乖離に配慮する。
正答:1番
解説
# 第28回 第162問 解説
■ 正答:**1番** — 訓練では右側を強調した刺激を用いる。
左半側空間無視(左側への注意が欠如し、左側の刺激に気付かない障害)患者への訓練では、むしろ**「左側の刺激を積極的に用い、左側への注意喚起」**を行うのが原則です。選択肢1は、右側を強調する逆向きのアプローチで、左側無視を改善する訓練理論と矛盾しています。
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【各選択肢の解説】
1. 訓練では右側を強調した刺激を用いる。
❌ **誤り。** 左半側空間無視患者への訓練は「左側への注意を回復させる」ことが目的です。右側を強調すると、むしろ左側の見落としが増強される可能性があります。正しい訓練アプローチは「左側の刺激に注意を向けさせる」「セッティングを左側に置く」など、**左側への環境調整と注意誘導**です。
2. 食事の様子を看護師から情報収集する。
✅ **正しい。** 机上検査では正常に見えても、実生活場面での困難さは不明な場合があります。食事中の左側への見落とし、左側の食べ残しなど、**実践的な情報**は訓練計画や環境調整の立案に不可欠です。
3. 呼びかけに気付いてほしいときは右側から声をかける。
✅ **正しい。** 左半側空間無視患者は左側の刺激への反応が低下しているため、注意を引く必要があるときは**右側(注意を向けやすい側)から声をかけ**、その後で左側の情報を提供するなどの工夫が有効です。
4. 左側の見落としやすさがあることを繰り返し説明する。
✅ **正しい。** 患者・家族の**病態認識**が訓練成功と生活上の安全確保(転倒防止・食べ残し防止等)には重要です。症状の特性を理解することで、代償戦略(意識的に左を振り向く習慣など)の学習が促進されます。
5. 机上検査の成績と日常生活上の困難さとの乖離に配慮する。
✅ **正しい。** BIT(Behavioral Inattention Test)などの検査では見逃さない患者が、実生活での日常動作では左側への見落としが顕著なことは珍しくありません。検査成績のみに依存せず、**実践的な活動場面での困難さを重視した対応**が必要です。
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【試験対策ポイント】
**左半側空間無視の訓練・対応原則**
| アプローチ | 内容・根拠 |
|---|---|
| 環境調整 | 左側に重要物品を配置、左側の危険物を除去、左側からの刺激を増加させる |
| 注意訓練 | 左側の刺激に意識的に注意を向けさせる。**右側強調は逆効果** |
| 視覚走査訓練 | 意識的に頭部・眼球を左側に向ける習慣化 |
| 実生活訓練 | 検査場面から実動作場面(食事・更衣・歩行)への般化を最優先 |
| 患者・家族教育 | 症状の性質「自分で気付きにくい」を理解させることが行動変容の鍵 |
**右半球病変(非優位半球)に伴う高次脳機能障害**
| 症状 | 説明 |
|---|---|
| 左半側空間無視 | 左側の空間・物体・人物への注意欠如。「視力障害ではない」点を強調 |
| 着衣失行 | 衣類の着用順