第28回 言語聴覚士国家試験 第163問
高次脳機能障害第28回
びまん性軸索損傷がみられるのはどれか。
- 1.アルツハイマー型認知症
- 2.血管性認知症
- 3.クロイツフェルト・ヤコブ病
- 4.外傷性脳損傷 ✓
- 5.脳炎
正答:4番
解説
# 第28回 第163問 解説
■ 正答:4番 — 外傷性脳損傷
びまん性軸索損傷(Diffuse Axonal Injury, DAI)は、頭部外傷時に加速度損傷によって脳全体の神経軸索が広範に損傷される病態です。特に**外傷性脳損傷**に特徴的な損傷パターンであり、他の4つの選択肢は神経変性疾患や特定部位の病変であり、びまん性軸索損傷とは病態が異なります。
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【各選択肢の解説】
1. **アルツハイマー型認知症**
❌ 誤り。アルツハイマー型認知症の主病理は**β-アミロイドのセニルプラークと、タウ蛋白のもつれ(神経原線維変化)**です。これらは大脳皮質(特に側頭葉内側面や海馬)に局所的に沈着するもので、軸索全体の広範な損傷ではありません。
2. **血管性認知症**
❌ 誤り。血管性認知症は**脳梗塞や脳出血**に基づく認知機能低下です。血流途絶による虚血性神経細胞死や限定的な出血巣の障害であり、軸索全体の加速度損傷ではありません。
3. **クロイツフェルト・ヤコブ病**
❌ 誤り。CJDは異常プリオン蛋白(PrPsc)による海綿状変性(スポンジ状の脳実質変化)が特徴です。急速進行性認知症・ミオクローヌス・視覚障害などを呈しますが、びまん性軸索損傷ではなく、特定部位の神経細胞脱落と空胞化が主病理です。
4. **外傷性脳損傷**
✅ 正しい。びまん性軸索損傷は**頭部外傷による加速度損傷の典型的病態**です。脳全体にわたって神経軸索が回転・引き伸ばされ、軸索が断裂します。白質束(内包・脳梁など)に損傷が集中します。意識障害・遷延性意識障害・運動/認知機能障害を呈し、予後は重篤です。
5. **脳炎**
❌ 誤り。脳炎は感染性炎症(ウイルス・細菌など)による脳実質の炎症です。局所的な浮腫・充血・神経細胞の炎症性破壊が主病理で、広範な軸索損傷ではありません。
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【試験対策ポイント】
**びまん性軸索損傷(DAI)の特徴**:
- **加速度損傷**が発生メカニズム(特に回転型損傷で軸索が引き伸ばされる)
- **白質束**(内包・脳梁、下縦束、上縦束など)に損傷が集中
- **意識障害**が深く、GCS(グラスゴー・コーマ・スケール)が著しく低い
- **遷延性意識障害**に進む可能性が高い
- **MRI拡散強調画像(DWI)**で多数の高信号域が検出される
**頭部外傷の病態分類**:
- 頭蓋内出血(硬膜外・硬膜下・脳内)
- 脳挫傷(局所的な脳組織損傷)
- **びまん性軸索損傷**(広範な軸索損傷)
- 続発性損傷(脳浮腫・脳ヘルニア)
**認知症と急性頭部外傷の鑑別ポイント**:
神経変性疾患(AD・CJD)は**緩徐進行**、外傷は**急性発症**。ADIは損傷パターン