STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第28回 言語聴覚士国家試験 第153問

高次脳機能障害第28回
会話相手の発話意図の理解障害を検出するために適切な評価法はどれか。
  1. 1.FIM(機能的自立度評価法)の社会的認知項目
  2. 2.アイオワ・ギャンブリング課題
  3. 3.遂行機能障害症候群の行動評価
  4. 4.CADL 実用コミュニケーション能力検査
  5. 5.心の理論課題 ✓

正答:5番

解説
# 第28回 国家試験 第153問 解説 ■ 正答:**5番 — 心の理論課題** 会話相手の「発話意図の理解」とは、文字通りの意味ではなく相手の真の意図や信念・欲求を推測する能力です。これは**心の理論(Theory of Mind, ToM)**と呼ばれる認知機能で、他者の精神状態を推測する力です。心の理論課題はこの能力を直接評価する検査であり、会話相手の発話意図理解障害を最も適切に検出できます。 --- 【各選択肢の解説】 **1. FIM(機能的自立度評価法)の社会的認知項目** ❌ 誤り。FIMの社会的認知項目(理解・表現・相互作用)は、一般的なコミュニケーション能力の自立度を評価するもので、**発話意図という精細な認知プロセスの評価には向きません**。ADLの自立度判定が主目的です。 **2. アイオワ・ギャンブリング課題** ❌ 誤り。これは報酬と罰の学習を通じて**決定・判断機能**(意思決定能力・リスク評価)を評価する検査です。感情的な学習や報酬回避学習の障害検出に用いられ、発話意図理解とは無関係です。 **3. 遂行機能障害症候群の行動評価** ❌ 誤り。**計画・問題解決・柔軟性・行動抑制**などの前頭葉機能を評価するもので、意図理解という推測・推論課題とは異なります。計画立案や方針転換の障害検出に用いられます。 **4. CADL(実用コミュニケーション能力検査)** ❌ 誤り。CADLは日常生活場面での実用的なコミュニケーション機能全般(挨拶・買い物・電話・読み書き等の場面設定)を評価する検査です。**意図理解という精細な理論的推論**よりも、実践的・場面的なコミュニケーション能力が対象です。 **5. 心の理論課題** ✅ 正しい。代表例は「Sally-Anne課題」(相手の誤った信念を推測させる古典課題)や「嘘・皮肉・間接的表現の理解課題」。相手がなぜそのような発話をするのか、相手の内心・信念・意図を推測する能力を直接測定します。これにより、相手の発話の真の意図を理解できるか否かを検出できます。 --- 【試験対策ポイント】 **心の理論(Theory of Mind)と他の高次脳機能の違い**: | 認知機能 | 評価対象 | 代表的検査 | 障害時の症状 | |---|---|---|---| | 心の理論 | 他者の信念・意図・知識の推測 | Sally-Anne課題・皮肉理解課題・誤信念課題 | 相手の本当の意図が理解できない。会話が成立しない | | 実用コミュニケーション | 日常生活での場面適応的な言語使用 | CADL・実用的コミュニケーション検査 | 文法は保たれても社会的文脈に不適切 | | 遂行機能 | 計画・問題解決・柔軟性・抑制 | WCST・BADS・FAB | 計画遂行不全・固執・衝動的行動 | | 社会的認知(感情認知) | 顔表情から情動を読む | 顔表情認識課題 | 相手の感情が読み取れない(自閉スペクトラム症など) | **右前頭葉損傷では心の理論が障害されやすい**理由:社会的推論・他者心理の推測に右前頭葉(特に下前頭回
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