第28回 言語聴覚士国家試験 第198問
補聴器・人工内耳第28回
耳かけ型補聴器装用者が「音がキンキンする」と訴えたときの対応について誤っているのはどれか。
- 1.低周波数の利得を大きくする。
- 2.最大出力を下げる。
- 3.イヤモールドのベントを広げる。 ✓
- 4.全体の利得を小さくする。
- 5.イヤモールドの音道を細くする。
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — イヤモールドのベントを広げる。
「音がキンキン」する訴えは、**高周波数(高音)の過剰な増幅により生じる不快感**を指しています。この症状を改善するには、高周波数の利得を低減させるか、全体的な増幅を抑える必要があります。イヤモールドのベントを広げる対応は、むしろ低周波数の増幅を減らすものであり、この訴えへの対応としては逆効果になります。
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【各選択肢の解説】
1. 低周波数の利得を大きくする。
✅ 正しい。高周波数の過剰感を相対的に緩和する目的で、低周波数領域を補強することで、周波数特性のバランスを調整できます。
2. 最大出力を下げる。
✅ 正しい。全体の出力レベルを下げることで、「キンキン」という高周波数領域の不快感を直接軽減できます。
3. イヤモールドのベントを広げる。
❌ **誤り**。ベントを広げると、特に**低周波数の音圧が低下し、低音が減弱します**。「キンキンする」という高周波数の訴えには直接対応しません。むしろ高周波数領域の問題を改善したい場合は、ベントを広げるのではなく、イヤモールドの形状・材質やフィッティングで遮音特性を高めるべきです。
4. 全体の利得を小さくする。
✅ 正しい。全体の増幅量を低減させることで、高周波数を含む全周波数帯域の過度な増幅を抑え、不快感を軽減できます。
5. イヤモールドの音道を細くする。
✅ 正しい。音道を細くすると、共鳴周波数が高周波数側にシフトし、**低周波数領域の増幅を増し、高周波数の相対的な優位性を低減**できます。結果として「キンキン」感の軽減につながります。
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【試験対策ポイント】
**イヤモールドの特性と調整**(頻出事項):
| 調整項目 | 低周波への影響 | 高周波への影響 | 臨床的用途 |
|---|---|---|---|
| ベント拡大 | **低音↓(減弱)** | ほぼ変化なし | 低音の違和感・こもり感を軽減 |
| ベント縮小/閉鎖 | 低音↑(増強) | ほぼ変化なし | 低音の増強が必要な場合 |
| 音道細化 | 低音↑(増強) | 高音↓相対的に低減 | 高周波不快感の改善 |
| 音道太化 | 低音↓(減弱) | 高音↑相対的に増強 | 低音補強が必要な場合 |
| イヤモールド素材を厚く | 遮音性向上 | 遮音性向上(低音域効果大) | 全体の周波数特性を改善 |
**「キンキンする」問題の対応の優先順位**:
1. **周波数特性の調整**(利得カーブの低周波上げ・高周波下げ)← 最優先
2. **最大出力(MPO)を下げる** ← ハウリング防止効果もあり
3. イヤモールド形状の改善(音道細化・ベント調整)
**混同しやすい概念**:
- **ベント**は「**低周波領域**の圧力緩和」に特化(側音による空気抜け)
- **ハウリング対策**としてベントを広げると、逆に低音がスカスカになる弊害
- 「高周波の不快感」と「低周波のこもり感」は全く異なる問題→原因と