STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第28回 言語聴覚士国家試験 第199問

補聴器・人工内耳第28回
残存聴力活用型人工内耳の適応基準(2023) と合致しないのはどれか。
  1. 1.適応年齢は18歳以上である。 ✓
  2. 2.125Hzと250Hzの聴力が65dBHL以下である。
  3. 3.反復性の急性中耳炎の手術適応は慎重に判断する。
  4. 4.中耳炎などの感染症の活動期の手術は禁忌である。
  5. 5.補聴器装用による語音明瞭度が65 dB SPLで60%以下である。

正答:1番

解説
# 第28回 第199問 解説 ■ 正答:1番 — **適応年齢は18歳以上である** 残存聴力活用型人工内耳(EAS: Electroacoustic Stimulation)の2023年適応基準では、**適応年齢は16歳以上**とされています。18歳以上という記述は誤りです。 --- ## 【正答の詳細解説】 残存聴力活用型人工内耳は、**低周波数帯域の残存聴力を補聴器で活用しながら、同時に高周波数帯域を人工内耳の電気刺激で補う**ハイブリッドシステムです。2023年の日本における適応基準を以下の表にまとめます。 | 項目 | 基準 | |---|---| | **適応年齢** | **16歳以上**(18歳ではない) | | 低周波数残存聴力 | 125Hz・250Hz = 65dBHL以下(気導) | | 高周波数聴力 | 2000Hz以上で70dBHL以上の難聴 | | 補聴器適合後の語音明瞭度 | 65dB SPLで60%以下 | | 中耳感染症 | 活動期は禁忌・慢性化例は慎重判断 | | 急性中耳炎反復 | 手術適応を慎重に判断 | --- ## 【各選択肢の解説】 **1. 適応年齢は18歳以上である** ❌ **誤り。** 2023年基準では**16歳以上**が適応となります。16〜18歳の小児もEAS の候補となる重要な改定です。 **2. 125Hzと250Hzの聴力が65dBHL以下である** ✅ **正しい。** 低周波数帯域に残存聴力がある基準として、125Hz・250Hzの気導聴力が**65dBHL以下**であることが必須です。この周波数帯での聴力が保たれていることが、EASの「残存聴力活用」という理念の基盤です。 **3. 反復性の急性中耳炎の手術適応は慎重に判断する** ✅ **正しい。** 中耳炎は人工内耳のリスク要因となります。反復する急性中耳炎がある場合、鼓膜穿孔や中耳腔の環境が不良となり、インプラント周囲の感染リスクが高まるため、**手術適応を慎重に判断**する必要があります。 **4. 中耳炎などの感染症の活動期の手術は禁忌である** ✅ **正しい。** 急性感染症の活動期(発熱・膿汁排出など)での手術は**禁忌**です。感染は人工内耳埋め込み部位の重篤な合併症(感染・排出)に直結するため、感染症の完全な沈静化を待つ必要があります。 **5. 補聴器装用による語音明瞭度が65 dB SPLで60%以下である** ✅ **正しい。** これは人工内耳の適応判定における重要な客観的基準です。**補聴器装用後でも65dB SPLの語音明瞭度が60%以下**であれば、補聴器単独での改善が限界的であり、人工内耳の適応が考慮されます。 --- ## 【試験対策ポイント】 ### ■ EAS(残存聴力活用型人工内耳)の位置づけ 人工内耳の分類: | システム | 対象難聴 | 特徴 | |---|---|---| | **従来型(CI)** | 両側高度〜重度感音難聴 | 全周波数帯を電気刺激のみで補う | | **EAS(ハイブリッド型)** | 低周波数残存聴力あり・高周波数高度難聴 | 低周
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