STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第28回 言語聴覚士国家試験 第200問

補聴器・人工内耳第28回
人工内耳について正しいのはどれか。
  1. 1.加齢性難聴は適応とならない。
  2. 2.失聴期間は語音の聴取成績に影響しない。
  3. 3.手術後のMRI検査は禁忌である。
  4. 4.装用閾値は残存聴力に依存する。
  5. 5.電極アレイは内有毛細胞の機能を代行する。 ✓

正答:5番

解説
# 第28回 第200問 解説 ■ 正答:5番 — 電極アレイは内有毛細胞の機能を代行する。 人工内耳は重度から全ろう聴覚障害者を対象とする聴覚再生装置であり、蝸牛内に挿入された電極アレイが**内有毛細胞に代わって聴神経を直接電気刺激する**ことで聴覚を復活させます。電極アレイが担う役割は、正常聴力では内有毛細胞が音響信号を電気信号に変換する機能をシミュレートすることです。 --- 【各選択肢の解説】 1. 加齢性難聴は適応とならない。 ❌ 誤り。加齢性難聴で高度~重度感音難聴に至った場合、補聴器では十分な聞き取り改善が得られないときは人工内耳の適応候補となります。高齢者であっても身体状態が良好で本人の希望があれば手術対象になります。 2. 失聴期間は語音の聴取成績に影響しない。 ❌ 誤り。**失聴期間は人工内耳装用後の語音聴取成績に著明な影響を与えます。**失聴期間が長いほど(特に失聴期間が数十年)、聴覚皮質の可塑性が低下し、聴神経の萎縮も生じるため、装用後の聴覚習得成績が悪くなる傾向があります。したがって、聴力障害の早期発見と早期対応、特に難聴児の人工内耳装用時期の決定では失聴期間を最小化することが重要な考慮事項です。 3. 手術後のMRI検査は禁忌である。 ❌ 誤り。従来は人工内耳装用後のMRI検査は禁忌とされていましたが、**現在のほとんどの機種はMRI対応化**されており、特定の条件下(磁場強度1.5T以下、磁石の位置に応じた固定・頭部ギプス装着など)ではMRI検査が可能になっています。ただし機種によって対応状況が異なるため、術前に確認が必要です。 4. 装用閾値は残存聴力に依存する。 ❌ 誤り。**人工内耳の装用閾値は残存聴力に依存しません。**人工内耳は内耳の感音部(有毛細胞)をバイパスして聴神経を直接電気刺激するため、装用閾値は電極からの電気刺激強度で決まり、補聴器とは異なり周囲音の音響特性(デシベル値)には左右されません。この点が補聴器との根本的な違いです。 5. 電極アレイは内有毛細胞の機能を代行する。 ✅ 正しい。人工内耳の中核部品である電極アレイは、蝸牛内に挿入され、**内有毛細胞が担う「音響信号→電気信号への変換機能」を完全に代行します。**正常聴覚では内有毛細胞が音振動を受け取りシナプス小胞にアセチルコリンを放出して聴神経を興奮させますが、人工内耳では外部音声処理装置が音を受け取り、電気信号に変換して電極アレイに送信し、複数の電極が聴神経の異なる領域を部位特異的に刺激して周波数弁別を可能にしています。 --- 【試験対策ポイント】 **人工内耳適応の国家試験出題の黄金パターン:** | 項目 | 重要知識 | よくある誤り | |---|---|---| | **適応基準** | 重度~全ろう感音難聴・補聴器が無効 | 「高齢者は不可」「先天性のみ」という
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