第28回 言語聴覚士国家試験 第41問
音響学第28回
A/D変換のサンプリング周波数を低くしたときに低下するのはどれか。
a.量子化雑音
b.S/N比
c.時間分解能
d.分析可能な最高周波数
e.量子化ビット数
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:4番
解説
# 第28回 第41問 — 正答:4番(c,d)
## 正答の理由
A/D変換のサンプリング周波数を低くすると、**時間分解能と分析可能な最高周波数が低下**します。これはNyquist定理と時間軸の離散化原理に基づいています。サンプリング周波数を下げると、単位時間あたりのサンプル数が減少するため、時間軸の分解能が低下し、また Nyquist周波数(サンプリング周波数の1/2)が低くなるため高周波の分析が不可能になります。
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## 【各選択肢の解説】
**a. 量子化雑音**
❌ 誤り。量子化雑音はサンプリング周波数ではなく**量子化ビット数**で決まります。ビット数が多いほど(例:16bit → 24bit)量子化レベルが細かくなり、量子化雑音が低下します。サンプリング周波数を変更しても量子化雑音には直接影響しません。
**b. S/N比**
❌ 誤り。S/N比が低下するのは、サンプリング周波数ではなく**量子化ビット数を低下させた場合**です。ビット数を減らすと、量子化誤差(雑音)が増加して相対的にS/N比が悪化します。サンプリング周波数の変更はS/N比に直接的な影響を与えません。
**c. 時間分解能**
✅ 正しい。サンプリング周波数を低くすると、単位時間あたりのサンプル点数が減少します。すなわち、サンプル間隔(1/fs)が広くなるため、**時間軸上の分解能が低下**し、急激な変化を捉えられなくなります。例えば、fs=44.1kHzを22.05kHzに下げると、時間分解能は2倍悪くなります。
**d. 分析可能な最高周波数**
✅ 正しい。**Nyquist定理**により、分析可能な最高周波数は fs/2(Nyquist周波数)です。サンプリング周波数を低くすると、この上限周波数も低下します。例えば、fs=44.1kHzでは22.05kHzまで分析可能ですが、fs=22.05kHzに下げると11.025kHzまでしか分析できません。これがサンプリング周波数低下の最大の弊害です。
**e. 量子化ビット数**
❌ 誤り。量子化ビット数はサンプリング周波数とは**独立したパラメータ**です。16bit、24bit、32bitなどのビット数はA/D変換時に個別に設定されるもので、サンプリング周波数の値に左右されません。
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## 【試験対策ポイント】
### ■ A/D変換の4つの独立したパラメータ
| パラメータ | 定義・役割 | 低下する条件 | 出題頻度 |
|---|---|---|---|
| **サンプリング周波数(fs)** | 1秒あたりのサンプル点数。Hz単位 | — | ★★★ |
| **Nyquist周波数(fs/2)** | 分析可能な最高周波数 | fs↓ | ★★★ |
| **時間分解能** | 時間軸上の識別能力。間隔=1/fs | fs↓ | ★★ |
| **量子化ビット数** | 振幅方向の離散化レベル。bit単位 | — | ★★★ |
| **量子化雑音** | 量子化誤差。振幅の丸め誤差 | ビット数↓ | ★★ |
### ■ 重要な区別
**「サンプリング周波数の低下」で起こることと起こらないこと**:
**❌ 起こらないこと(よく