STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第28回 言語聴覚士国家試験 第40問

音響学第28回
誤っているのはどれか。
  1. 1.純音は正弦(サイン)関数として表現できる。
  2. 2.純音の波形は周波数、振幅、初期位相を指定することで一意に定まる。
  3. 3.周波数が同じでも位相が異なれば、二つの純音の音色の違いが知覚できる。 ✓
  4. 4.複合音は様々な周波数の純音の和として表現できる。
  5. 5.純音は一つの周波数成分をもつ。

正答:3番

解説
# 第28回 第40問 解説 ■ 正答:**3番** — 周波数が同じでも位相が異なれば、二つの純音の音色の違いが知覚できる。 --- ## 解説 この問題は**音響学の基礎知識**を問うています。誤りは「位相差が知覚される」という主張です。 ### ■ 正答の理由 純音は周波数と振幅のみで決まる単純な信号です。**位相は知覚に影響しません。**人間の聴覚系は、純音の位相差を識別できないとされています。これは「**位相鈍感性**」と呼ばれる現象です。 複合音の場合、成分純音の位相の相対関係が変わると波形は異なりますが、純音そのものには位相情報は知覚されません。音色(timbre)を決定するのは周波数成分の**振幅スペクトラム**(各周波数の振幅)であり、位相スペクトラムではないのが基本原理です。 --- ## 各選択肢の解説 1. **純音は正弦(サイン)関数として表現できる。** ✅ 正しい。純音の標準的な数学表現は x(t) = A sin(2πft + φ) です(A=振幅、f=周波数、φ=初期位相)。 2. **純音の波形は周波数、振幅、初期位相を指定することで一意に定まる。** ✅ 正しい。この3つのパラメータが決まれば、時間領域での波形は完全に一意に決定されます。 3. **周波数が同じでも位相が異なれば、二つの純音の音色の違いが知覚できる。** ❌ **誤り。** 純音では位相差は知覚されません。位相が異なっても同じ音色(pitch=高さ、loudness=大きさのみ)として知覚されます。これは人間の聴覚系が位相に鈍感であることを示しています。 4. **複合音は様々な周波数の純音の和として表現できる。** ✅ 正しい。**フーリエ合成**の原理により、あらゆる周期的な複合音は基本周波数とその高調波(倍音)の組み合わせで表現できます。 5. **純音は一つの周波数成分をもつ。** ✅ 正しい。純音の定義は「ただ1つの周波数を持つ音」であり、複合音(倍音を含む)や雑音(周波数帯域全体)とは異なります。 --- ## 試験対策ポイント ### 位相と音色の関係(頻出・重要) **複合音**の場合: - 成分純音の**位相関係が変わる** → 波形は大きく変わる - しかし聴覚的には**ほぼ同じ音色として知覚される** - これが「位相鈍感性」 **純音**の場合: - そもそも位相を識別する対象がない(1周波数のみ) - 異なる初期位相の2つの純音は、**波形は異なるが同一の聴覚印象** ### フーリエ解析との関連 複合音の音色(timbre)を決定するのは: - **振幅スペクトラム**(各周波数の大きさ)← 重要 - ~~位相スペクトラム~~(聴覚的に不知覚) 例)声は振幅スペクトラム(倍音成分の配置)で個人差が生じ、同じ人の「あ」と「い」は異なる音色として知覚されます。 ### 混同しやすい概念 | 概念 | 内容 | 知覚可能か | |---|---|---| | 周波数(f) | 1秒間の振動数(Hz) | ✅ **可能**(pitch として知覚) | | 振幅(A) | 最大変位
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