STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第28回 言語聴覚士国家試験 第42問

音響学第28回
雑音環境下で話者が適応的に発話様式を制御する現象はどれか。
  1. 1.ロンバード効果 ✓
  2. 2.腹話術効果
  3. 3.ハース効果
  4. 4.インテンシティ効果
  5. 5.マスキング効果

正答:1番

解説
# 第28回 第42問 解説 ■ 正答:1番 — ロンバード効果 雑音環境下で話者が無意識のうちに音量を上げたり、話し方を変えたりして、聞き取りやすさを維持しようとする現象です。これは適応的な発話様式制御の代表例であり、音響学における重要な概念です。 --- ## 【各選択肢の解説】 1. **ロンバード効果** ✅ 正しい。雑音が大きいほど、話者は自動的に声量を増加させ、話し方を変える現象。会話を成立させるための適応メカニズムです。 2. **腹話術効果** ❌ 誤り。「腹話術効果」は音響学の標準的な用語ではありません。腹話術は技法のひとつですが、適応的な発話様式制御とは無関係です。 3. **ハース効果** ❌ 誤り。ハース効果(Haas Effect)は聴覚心理学の概念で、わずかな時間差のある2つの音が聞こえるとき、先行する音の方向が知覚される現象です。発話様式の変化とは異なります。 4. **インテンシティ効果** ❌ 誤り。「インテンシティ効果」という確立した音響学用語は存在しません。強度(intensity)に関する現象は複数ありますが、適応的発話制御を指す標準的な用語ではありません。 5. **マスキング効果** ❌ 誤り。マスキング効果は、大きな音が小さい音を聞き取りにくくする(隠す)現象です。話者の適応的な制御ではなく、聴者側の知覚特性を説明する現象です。 --- ## 【試験対策ポイント】 **ロンバード効果の特徴**: - 話者が意図的ではなく**無意識に**行う適応メカニズム - **音量増加**だけでなく、話の速度変化・イントネーションの強調・音節の明晰化も含まれる - Signal-to-Noise Ratio(SNR)改善を目的とした生理的反応 **類似概念との区別**: - **マスキング効果**=聴者側の知覚現象(背景雑音が前景音を隠す) - **ロンバード効果**=話者側の発話制御現象(雑音に対する適応反応) **臨床への応用**: 聴覚障害児や高齢難聴者との会話では、相手がロンバード効果を起こしやすい環境を避け、**静かな環境設定**が音声言語学習に極めて重要です。うるさい環境では、難聴児の聴覚フィードバック獲得を妨害し、歪んだ発話パターンの習得につながります。
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