第27回 言語聴覚士国家試験 第43問
言語学第27回
言語を共時的に記述する際に考慮されないのはどれか
a.歴史的音変化
b.語の歴史的来源
c.形態論上の異形態
d.音韻論・音声学上の異音
e.語の体系の中での他の語との関係
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — a,b
共時的記述は「ある時点での言語体系をそのままの形で記述する」アプローチです。したがって、言語の過去の変化(歴史的音変化)や言語の起源・来源に関わる歴史的情報は、共時的記述の対象外となります。一方、c・d・eはすべて現在の言語体系内の構造を描写するために必要な情報です。
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【各選択肢の解説】
a. 歴史的音変化
❌ 誤り。これは言語の過去の変化を扱う内容であり、共時的記述では考慮されません。共時的アプローチは「今この瞬間の言語」のみを対象とするため、歴史的プロセスは除外されます。
b. 語の歴史的来源
❌ 誤り。「この語がどこから来たのか」「どの言語から借用したのか」といった語源学的情報は、歴史言語学の範疇です。共時的記述では、現在の言語体系内での語の位置付けのみが重要です。
c. 形態論上の異形態
✅ 正しい。同じ形態素が異なる文脈で異なる形で現れることは(例:go-went、mice-mouse)、現在の言語体系の構造を記述するために必須の情報です。共時的記述に含まれます。
d. 音韻論・音声学上の異音
✅ 正しい。同じ音韻が異なる音声で実現される現象(例:日本語の/k/が[k]にも[?]にも実現)は、現在の言語体系を正確に記述するために考慮されるべき内容です。
e. 語の体系の中での他の語との関係
✅ 正しい。言語体系内での意味的・形態的な関係(例:dog-dogs、sing-song-sung の共通パターン)を記述することは、構造的な言語記述の中核です。共時的アプローチの典型的な対象です。
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【試験対策ポイント】
共時的 vs 歴時的の区別:
| 観点 | 共時的(Synchronic) | 歴時的(Diachronic) |
|---|---|---|
| **時間軸** | 特定の時点での「横切り」 | 時間経過による「縦の流れ」 |
| **考慮対象** | 現在の体系構造 | 過去→現在の変化プロセス |
| **歴史的音変化** | ✗ 除外 | ✓ 中心対象 |
| **語の来源** | ✗ 除外 | ✓ 中心対象 |
| **現在の異音・異形態** | ✓ 重要 | △ 参考情報 |
| **体系内の関係性** | ✓ 重要 | △ 背景 |
キーワード:「a,b」は「歴史」を含む→共時的記述では考慮されない→正答1番