第28回 言語聴覚士国家試験 第56問
失語症第28回
純粋失読に特徴的な現象はどれか。
a.意図性保続
b.心像性効果
c.運動覚促通
d.語長効果
e.接近行為
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — c.運動覚促通、d.語長効果
純粋失読は左後頭葉と脳梁膨大部の損傷により視覚的に文字を認識できなくなる症状です。文字を指でなぞったり手で書く動作を行うことで読めるようになる「運動覚促通」と、短い語ほど読みやすい「語長効果」が特徴的に出現します。
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【各選択肢の解説】
a. 意図性保続
❌ 誤り。意図性保続は前頭葉(Broca野)損傷に伴う失語症状で同じ語を繰り返してしまう現象です。純粋失読の中核症状ではありません。
b. 心像性効果
❌ 誤り。心像性効果は具体語(心像の豊かな語)が抽象語より読みやすい現象で、語義性失読(深層失読)でみられます。純粋失読では視覚的な文字認知自体が障害されているため本質的特徴ではありません。
c. 運動覚促通
✅ 正しい。純粋失読患者が文字を指でなぞったり空中に書く動作をすることで読めるようになる現象です。視覚経路の障害を体性感覚・運動覚経路でバイパスする代償メカニズムであり、純粋失読に特異的な所見です。
d. 語長効果
✅ 正しい。純粋失読では文字数が少ない語ほど読みやすく、文字数が増えるほど読みにくくなる語長効果が出現します。一文字ずつ逐次的に処理する「逐字読み」が反映されています。
e. 接近行為
❌ 誤り。接近行為は前頭葉損傷(特に補足運動野・前頭葉内側面)でみられる把握反射に関連した行動です。純粋失読の症状ではありません。
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【試験対策ポイント】
純粋失読(失書を伴わない失読)の臨床像:
責任病巣:左後頭葉+脳梁膨大部(左後大脳動脈領域梗塞が典型)
読字能力:黙読・音読が著しく困難または不可能
書字能力:保持される(書いた文字を自分で読めない)
運動覚促通:指でなぞると読める
語長効果:短い語が有利・逐字読みを示す
失読の種類の比較:
- 純粋失読:失書なし・逐字読み・運動覚促通・語長効果
- 深層失読:意味性錯読(「犬」→「猫」)・心像性効果あり
- 表層失読:規則的な読みで音韻化が優先される
「運動覚促通」と「語長効果」はセットで覚えるのが国試対策上の鉄則です。