STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第28回 言語聴覚士国家試験 第55問

失語症第28回
失語症の原因疾患でないのはどれか。
  1. 1.ギラン・バレー症候群 ✓
  2. 2.多発性硬化症
  3. 3.脳挫傷
  4. 4.てんかん
  5. 5.脳出血

正答:1番

解説
# 第28回 第55問 解説 ■ 正答:1番 — ギラン・バレー症候群 失語症は**脳の言語野(Broca野・Wernicke野など)の損傷**によって生じる言語認識・表出・復唱機能の障害です。ギラン・バレー症候群は末梢神経の脱髄疾患であり、脳の言語中枢を損傷しないため、失語症の原因にはなりません。 --- 【各選択肢の解説】 1. ギラン・バレー症候群 ❌ 失語症の原因ではない。**末梢神経の脱髄疾患**であり、脳の言語野を侵さない。四肢麻痺・呼吸筋麻痺を起こすため、嚥下障害や音声障害は合併する可能性がありますが、失語症(言語の理解・表出障害)ではなく、むしろ構音障害(弛緩性dysarthria)となります。 2. 多発性硬化症(MS) ✅ 失語症の原因となる。中枢神経系の脱髄疾患であり、脳白質の広範な病変(特に左半球言語野周辺)で失語症が発生します。 3. 脳挫傷 ✅ 失語症の原因となる。**頭部外傷による脳実質の直接損傷**。左半球言語野損傷で失語症が生じます。特に交通事故などの高速衝撃で好発。 4. てんかん ✅ 失語症の原因となる。**焦点性てんかん**(左側頭葉病変など言語野周辺の異常放電)で失語症を呈することがあります。また、側頭葉の器質的病変(腫瘍・動脈瘤・梗塞)がてんかん発作の原因となり、同時に失語症を招くことも。さらに抗てんかん薬の長期使用による認知機能低下も問題です。 5. 脳出血 ✅ 失語症の原因となる。**左側脳出血**(特に被殻出血が左Broca野付近に拡がる場合など)で失語症が生じます。脳卒中患者における失語症の最頻原因の一つ。 --- 【試験対策ポイント】 **失語症の責任病巣と原因疾患**:失語症は「脳損傷」であることが必須条件です: | 病巣部位 | 失語タイプ | 代表的な原因 | |---|---|---| | 左Broca野(下前頭回BA44/45) | Broca失語(非流暢) | 脳出血・脳梗塞(左中大脳動脈) | | 左Wernicke野(上側頭回BA22) | Wernicke失語(流暢) | 脳出血・脳梗塞 | | 左側脳白質(弓状束) | 伝導失語 | 脳出血・脳梗塞・脳挫傷 | | 左前頭葉補足運動野 | 超皮質性運動失語 | 脳出血・前大脳動脈梗塞 | **末梢神経疾患ではなぜ失語症が出ないのか**: - **ギラン・バレー症候群**=末梢神経脱髄→四肢麻痺・呼吸筋麻痺 - 脳幹や脳の言語野(大脳皮質)は侵されない→失語症は出現しない - ただし呼吸筋麻痺による「嚥下障害」や気管切開後の「構音障害」は起こる **誤答しやすいポイント**: - 「多発性硬化症」は脱髄疾患ですが、**「中枢」神経系**(脳脊髄)を侵すため失語症が出ます - ギラン・バレー
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