STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第28回 言語聴覚士国家試験 第58問

失語症第28回
原発性進行性失語について正しいのはどれか。 a.脳梗塞の再発によって生じる。 b.エピソード記憶障害を認める。 c.視知覚障害を認める。 d.疾患の進行に伴いやがて認知症に至る。 e.流暢・非流暢どちらのタイプもある。 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:5番

解説
# 第28回 第58問 解説 ■ 正答:5番 — d, e(疾患の進行に伴いやがて認知症に至る、流暢・非流暢どちらのタイプもある) 原発性進行性失語(PPA)は、脳梗塞のような急性脳病変ではなく、**神経変性疾患に基づく進行性の言語障害**です。認知症につながり、かつ複数のタイプが存在することが診断基準の要点です。 --- 【各選択肢の解説】 **a. 脳梗塞の再発によって生じる。** ❌ 誤り。PPAは神経変性疾患(主にタウ関連タンパク症や前頭側頭葉変性症)に基づきます。脳梗塞は急性発症の非進行性言語障害(失語症)を引き起こしますが、PPAは緩徐進行性が特徴です。脳梗塞の「再発」は複数回の急性イベントを想定させるため誤り。 **b. エピソード記憶障害を認める。** ❌ 誤り。PPAの初期段階では**言語機能の障害が中心**で、エピソード記憶(個人的体験の記憶:「昨日の食事」など)は初期には比較的保たれていることが多いです。進行してやがて認知症化する際に記憶障害が顕在化しますが、発症初期の主訴としてはありません。 **c. 視知覚障害を認める。** ❌ 誤り。PPAの主な責任病巣は左側頭葉前部(意味型)・左前頭葉下部(非流暢型)・左後側頭頭頂葉(logopenic型)であり、視知覚や視空間認知に関わる後頭葉や頭頂葉後方の損傷は通常ではありません。視知覚障害は別の神経変性疾患(視覚変異型認知症など)の特徴です。 **d. 疾患の進行に伴いやがて認知症に至る。** ✅ 正しい。PPAは初期には言語機能に限局した障害を示しますが、**最終的には広範な認知機能低下(認知症)へ進行**します。これは基礎疾患の神経変性が徐々に拡大するためです。多くのPPA患者は診断から3〜15年で認知症へ移行します。 **e. 流暢・非流暢どちらのタイプもある。** ✅ 正しい。PPAは3つの主要なバリアント(タイプ)に分類されます: - **非流暢型/失文法型**:左前頭葉(Broca野周辺)の傷害。流暢性低下・文法的エラー・音韻性錯語が特徴 - **意味型**:側頭極など側頭葉前内側部。流暢だが語義喪失が顕著。「イヌ」「ネコ」など具体名詞が言えなくなる - **logopenic型**:左後側頭頭頂葉。流暢性は保たれるが音韻性錯語と復唱障害が顕著 流暢・非流暢の両方のタイプが存在することは診断基準の中核です。 --- 【試験対策ポイント】 **PPAの鑑別要点**: | 項目 | PPA | 通常の失語症(脳梗塞) | |---|---|---| | 発症 | 緩徐進行的(月〜年単位) | 急性(時間〜数日) | | 基礎疾患 | 神経変性疾患(タウ病理など) | 脳血管障害(脳梗塞・脳出血) | | 初期症状 | 言語機能に限局 | 言語+他の神経学的症状(片麻痺など) | | 予後 | 進行
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