第28回 言語聴覚士国家試験 第82問
運動障害性構音障害第28回
正しい組合せはどれか。
- 1.遺伝性脊髄小脳変性症 - 発話の抑揚に乏しい。
- 2.パーキンソン病 - 声が徐々に大きくなる。
- 3.ハンチントン病 - 気息性嗄声となる。
- 4.多系統萎縮症 - 声の強弱が変動する。 ✓
- 5.進行性核上性麻痺 - 発話開始時に爆発的発声となる。
正答:4番
解説
# 第28回 第82問 解説
■ 正答:4番 — 多系統萎縮症 - 声の強弱が変動する。
多系統萎縮症(MSA)は小脳・錐体路・錐体外路が複合的に障害される疾患であり、混合性構音障害を呈します。基底核機能障害と小脳失調により音量制御が不安定となるため、**声の強弱が不規則に変動する**のが特徴です。
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【各選択肢の解説】
1. 遺伝性脊髄小脳変性症 - 発話の抑揚に乏しい。
❌ 誤り。脊髄小脳変性症では小脳性の失調性構音障害となり、**断綴性発話(スキャニングスピーチ)**や**過剰で不規則な抑揚**、音節の引き伸ばしが特徴です。「抑揚に乏しい(単調)」のはパーキンソン病など運動低下性構音障害の特徴です。
2. パーキンソン病 - 声が徐々に大きくなる。
❌ 誤り。パーキンソン病は運動低下性構音障害を呈し、**声量低下(hypophonia)**、単調な抑揚、発話速度の加速(突進現象)、小声化が典型です。「徐々に大きくなる」のではなく、むしろ徐々に小さくなる(減衰する)のが特徴です。
3. ハンチントン病 - 気息性嗄声となる。
❌ 誤り。ハンチントン病は線条体の変性により舞踏運動(chorea)が生じ、不随意運動による**構音の歪み・音の引き伸ばしや突発的な音量変化**を特徴とする過動性構音障害を呈します。気息性嗄声は反回神経麻痺など声帯閉鎖不全で生じる症状であり、典型的ではありません。
4. 多系統萎縮症 - 声の強弱が変動する。
✅ 正しい。MSAは小脳症状(MSA-C)と錐体外路症状(MSA-P)が混在するため、混合性構音障害となります。失調性要素と運動低下性要素が重なることで、**声の強弱や速度が不規則に変動する**のが特徴です。
5. 進行性核上性麻痺 - 発話開始時に爆発的発声となる。
❌ 誤り。進行性核上性麻痺(PSP)は痙性要素と運動低下性要素が混在する構音障害を呈し、**努力性で粗造な嗄声、低く絞り出すような声、発話速度低下**が典型です。爆発的発声は失調性構音障害(小脳障害)の特徴です。
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【試験対策ポイント】
運動障害性構音障害(**Darleyの分類**)は疾患と音声特徴の組合せで頻出です。
- **痙性**(両側上位運動ニューロン):努力性嗄声、粗造性、発話速度低下
- **弛緩性**(下位運動ニューロン):**気息性嗄声**、開鼻声
- **失調性**(小脳):**断綴性発話、爆発的発声、不規則な抑揚** → 脊髄小脳変性症
- **運動低下性**(錐体外路・基底核):小声、単調、加速 → **パーキンソン病**
- **運動過多性**(錐体外路):突発的音量変化、構音の歪み → **ハンチントン病**
- **混合性**:複数要素の重複 → **多系統萎縮症、ALS、PSP、ウィルソン病**
「気息性嗄声=弛緩性(声帯麻痺など)」「爆発的発声=失調性(小脳)」と症状から責任病巣を逆引きできるようにしておきましょう。