STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第28回 言語聴覚士国家試験 第83問

嚥下障害第28回
嚥下に関わる筋と機能との組合せで誤っているのはどれか。
  1. 1.茎突咽頭筋 - 喉頭挙上 ✓
  2. 2.オトガイ舌骨筋 - 挺舌 ✓
  3. 3.外側輪状披裂筋 - 声門閉鎖
  4. 4.口蓋帆挙筋 - 軟口蓋挙上
  5. 5.輪状咽頭筋 - 食道入口部収縮

正答:1・2番

解説
■ 正答:1・2番(不適切問題) この問題は不適切問題として、正答が選択肢1と2の両方と公式発表されました。設問は「誤っているのはどれか」であり、正答が2つ存在すると判断されました。**茎突咽頭筋**と**喉頭挙上**の組み合わせ、および**オトガイ舌骨筋**と**挺舌**の組み合わせがいずれも誤りであるためです。採点では1・2いずれを選んだ受験者も正解として扱われました。 --- 【各選択肢の解説】 1. 茎突咽頭筋 — 喉頭挙上 ❌ 誤り。**茎突咽頭筋**(**舌咽神経**・第IX脳神経支配)の主な機能は咽頭の挙上・拡大であり、喉頭挙上との組み合わせは誤りです。喉頭挙上は**舌骨上筋群**(**顎二腹筋**・**顎舌骨筋**・**オトガイ舌骨筋**・**茎突舌骨筋**)が担います。 2. オトガイ舌骨筋 — 挺舌 ❌ 誤り。**オトガイ舌骨筋**(**舌下神経**・第XII脳神経支配)は舌骨を前上方に牽引して嚥下を補助する筋です。挺舌(舌を口外に突き出す動作)は主に**オトガイ舌筋**など舌固有筋の役割であり、オトガイ舌骨筋の機能ではありません。 3. 外側輪状披裂筋 — 声門閉鎖 ✅ 正しい。**外側輪状披裂筋**は披裂軟骨を前内方に回転させ声帯突起を内転させることで声門を閉鎖します。嚥下時の気道防護に重要な役割を果たします。 4. 口蓋帆挙筋 — 軟口蓋挙上 ✅ 正しい。**口蓋帆挙筋**(**迷走神経**支配)は軟口蓋を後上方に挙上して鼻咽腔を閉鎖し、嚥下時の鼻腔への食塊逆流を防ぎます。 5. 輪状咽頭筋 — 食道入口部収縮 ✅ 正しい。**輪状咽頭筋**(**Killian筋**)は上部食道括約筋(UES)を構成し、安静時は収縮して食道入口部を閉鎖しています。嚥下時には弛緩して食塊を通過させます。「収縮」という表現は安静時の状態を指しているため、この組み合わせは正しいとされます。 --- 【試験対策ポイント】 嚥下関連筋の機能を正確に区別することが本問のポイントです。特に混同しやすい筋の組み合わせを整理しておきましょう。 | 筋名 | 支配神経 | 主な機能 | |---|---|---| | 茎突咽頭筋 | 舌咽神経(IX) | 咽頭の挙上・拡大(喉頭挙上ではない) | | オトガイ舌骨筋 | 舌下神経(XII) | 舌骨の前上方牽引(挺舌ではない) | | オトガイ舌筋 | 舌下神経(XII) | 挺舌・舌の前方突出 | | 顎二腹筋・顎舌骨筋 | 三叉神経(V) | 喉頭挙上(舌骨上筋群) | | 外側輪状披裂筋 | 反回神経(X) | 声門閉鎖 | | 口蓋帆挙筋 | 迷走神経(X) | 軟口蓋挙上・鼻咽腔閉鎖 | | 輪状咽頭筋 | 迷走神経(X) | 安静時収縮・嚥下時弛緩(食道入口部開大) | - **茎突咽頭筋**は「茎突」が付いても舌骨上筋群ではなく咽頭筋の一つ。「咽頭挙上」と覚える - **オトガイ舌骨筋**と**オトガイ舌筋**は名前が似ているが機能が異なる。「骨」がつく方は舌骨を動かす、「骨」がつかない方は舌を動かす - 喉頭挙上の主役は**舌骨上筋群(4筋:顎二腹筋・顎舌骨筋・オトガイ舌骨筋・茎突舌骨筋)**と覚える 採点では1・2いずれを選んだ受験者も正解として扱われました。
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