第28回 言語聴覚士国家試験 第84問
嚥下障害第28回
嚥下造影検査で直接評価できるのはどれか。
a.不顕性誤嚥
b.咽頭の感覚
c.カーテン現象
d.唾液の咽頭貯留
e.喉頭の移動距離
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:2番
解説
# 第28回 第84問 解説
■ 正答:2番 — a.不顕性誤嚥、e.喉頭の移動距離
嚥下造影検査(VF)は**X線透視下でリアルタイムに嚥下動態を観察する検査**であり、食物の動きと関連する**解剖学的・生理学的な動きを直接評価**できる特徴があります。不顕性誤嚥(症状なく気道に食物が流入すること)と喉頭の移動距離(喉頭挙上量)は、VFで直視できる動態です。一方、咽頭感覚や唾液貯留、カーテン現象など**肉眼では見えないプロセスや神経機能は直接評価できません**。
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【各選択肢の解説】
**a. 不顕性誤嚥**
✅ **正しい。** VFで造影剤(バリウム)が声門を通過して気道内に入る様子が直接観察されます。患者が咳嗽などの症状を示さなくても(不顕性)、X線画像で食物の誤嚥を検出できることがVFの最大の利点です。
**b. 咽頭の感覚**
❌ **誤り。** 咽頭の感覚(触覚・痛覚)は神経生理学的な機能であり、X線画像には映りません。嚥下反射を見ることはできますが、感覚そのものは評価できません。感覚評価は触覚検査(綿棒での刺激など)で行う必要があります。
**c. カーテン現象**
❌ **誤り。** カーテン現象とは軟口蓋の挙上によって鼻咽腔が閉鎖される現象です。**VE(嚥下内視鏡検査)では内視鏡の先端が鼻咽腔に位置するため直接観察できます**が、VFではX線で軟口蓋の陰影変化から間接的に推測することは可能でも、「カーテン現象を直接評価する」という意味では**内視鏡検査の方が適しています**。VFの得意分野ではありません。
**d. 唾液の咽頭貯留**
❌ **誤り。** 唾液は造影剤を含まない生体液であるため、X線では通常映りません。造影剤なしの唾液の貯留をVFで直接観察することはできません。一方、**VE(嚥下内視鏡)では唾液を直接視認できます**。
**e. 喉頭の移動距離**
✅ **正しい。** 嚥下時に喉頭は前上方に移動し、輪状咽頭筋(上部食道括約筋)を弛緩させます。この移動の程度(移動距離=喉頭挙上量)は、X線画像で喉頭の位置を追跡することで定量的に測定できます。正常は約2cm以上の挙上があります。喉頭挙上不全は誤嚥リスク増加の指標です。
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【試験対策ポイント】
**VF(嚥下造影)の得意分野**:
- 食物の動きのリアルタイム観察
- 食道入口部開大の評価
- **喉頭の位置変化・舌の動き・舌骨の移動**
- 誤嚥のタイミング判定(嚥下前・中・後のどこか)
- 体位効果の確認(頸部前屈で改善するか、患側回旋で改善するか)
- **不顕性誤嚥の検出**
**VE(嚥下内視鏡)が優れている点**:
- **唾液の咽頭貯留の直視**
- **梨状陥凹への唾液・分泌物の貯留**
- 声門閉鎖の不全の直接観察