第28回 言語聴覚士国家試験 第117問
嚥下障害第28回
口腔領域の加齢変化で誤っているのはどれか。
- 1.頬部の皮膚や口角が下垂する。
- 2.唾液分泌量が減少する。
- 3.口腔内の温度感覚が低下する。
- 4.味覚閾値が低下する。 ✓
- 5.食塊形成能力が低下する。
正答:4番
解説
# 第28回 第117問 解説
■ 正答:4番 — **味覚閾値が低下する。**
**解説:** 加齢に伴う味覚の変化は「味覚閾値が**上昇**(感度が低下)」するが、選択肢4は「閾値が低下」と述べており誤りです。年齢が上がるにつれて、甘味・塩辛味・酸味・苦味すべてに対して感知しにくくなり、より強い刺激が必要になります。一方、1〜3、5は加齢による口腔領域の典型的な変化であり正しいです。
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【各選択肢の解説】
1. **頬部の皮膚や口角が下垂する。**
✅ 正しい。加齢に伴う皮膚の弾力性低下・表情筋の萎縮によって、頬や口角が下垂します。これにより唾液流出の鈍化・食物の頬側への停留リスクが増加します。
2. **唾液分泌量が減少する。**
✅ 正しい。血管条の萎縮に伴って唾液腺の機能が低下し、分泌量が**50%程度にまで減少**することが報告されています。唾液の潤滑作用・食塊形成・消化作用の低下につながり、誤嚥リスクが上昇します。
3. **口腔内の温度感覚が低下する。**
✅ 正しい。加齢に伴う感覚受容器(温度覚)の機能低下により、食物温度の感知能力が低下します。これにより食物温度への適応が鈍化し、嚥下反射の誘発が遅延する可能性があります。
4. **味覚閾値が低下する。**
❌ **誤り。このが選択肢の誤りです。** 加齢では味覚閾値は「**上昇**」します。すなわち、甘い・塩辛い・酸っぱい・苦いといった刺激に対して「**より強い刺激が必要**」になります。つまり、同じ濃度の食物では、加齢者には味が「薄く」感じられるようになります。このため薄味の食事では満足度が低下し、食欲低下につながることがあります。
5. **食塊形成能力が低下する。**
✅ 正しい。唾液分泌量の減少・口腔粘膜の乾燥・舌の細かな運動能力の低下により、食物をまとめて食塊を形成する能力が低下します。これは嚥下のための準備段階として重要であり、低下すると誤嚥リスクが増加します。
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【試験対策ポイント】
**味覚閾値の加齢変化は頻出ですので確実に理解しましょう。**
| 加齢による味覚の変化 | 特徴 |
|---|---|
| **味覚閾値は上昇** | より強い刺激(濃い味)が必要。感度低下 |
| 甘味 | 閾値上昇が最も顕著 |
| 塩辛味 | 上昇傾向 |
| 酸味・苦味 | 比較的維持されやすい場合も |
| 臨床的影響 | 薄味の食事では満足度↓、食欲低下、塩分過剰摂取リスク |
**口腔領域の加齢変化(重要キーワード)**:
- **形態的変化**:頬・口角下垂、歯牙喪失(咀嚼機能↓)、舌萎縮
- **分泌機能**:唾液分泌量**50%低下**(乾燥症のリスク)
- **感覚機能**:温度覚・痛覚・圧覚の閾値**上昇**(感度低下)
- **味覚**:閾値**上昇