STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第28回 言語聴覚士国家試験 第86問

嚥下障害第28回
カフ付気管切開カニューレの影響について誤っているのはどれか。
  1. 1.声門下圧が低下する。
  2. 2.喉頭挙上が制限される。
  3. 3.痰の喀出力が低下する。
  4. 4.喉頭の感覚が鋭敏になる。 ✓
  5. 5.嚥下時の食道通過が阻害される。

正答:4番

解説
# 第28回 第86問 — 嚥下障害 ■ 正答:4番 — 喉頭の感覚が鋭敏になる。 カフ付気管切開カニューレは、気管内腔に挿入された際に気管粘膜を圧迫します。この圧迫により、喉頭・気管粘膜の**感覚が低下(鈍麻)し、知覚反応が減弱**します。したがって「感覚が鋭敏になる」という記述は誤りです。 --- 【各選択肢の解説】 **1. 声門下圧が低下する。** ✅ 正しい。カフが気管を圧迫することで、声門下の気管腔が狭窄し、下方からの気流圧が減少します。これにより咳嗽時の爆発的な気流が弱くなります。 **2. 喉頭挙上が制限される。** ✅ 正しい。カフは気管を圧迫・固定するため、嚥下時に必要な喉頭挙上(喉頭が上方に移動して喉頭蓋が反転し気道を保護する動き)が物理的に制限されます。これが嚥下障害を招く主な理由の一つです。 **3. 痰の喀出力が低下する。** ✅ 正しい。カフによる声門下圧の低下により、気管内分泌物を排出するための呼気流の勢いが減弱するため、痰の喀出力は著しく低下します。 **4. 喉頭の感覚が鋭敏になる。** ❌ **誤り。** カフが気管粘膜を圧迫することで、むしろ感覚は**鈍化・低下**します。圧迫部位の知覚が減弱し、気管内の異物感や刺激に対する反応が減少することは、嚥下安全性の面で誤嚥リスク増加につながります。 **5. 嚥下時の食道通過が阻害される。** ✅ 正しい。カフによる喉頭固定と喉頭挙上制限は、咽頭の前後径を減少させ、咽頭期から食道初期への食塊の通過を物理的に妨害します。 --- 【試験対策ポイント】 **カフ付気管切開カニューレが嚥下に及ぼす悪影響(5項目を確実に押さえる)**: | 影響 | メカニズム | 臨床的対応 | |---|---|---| | ①喉頭挙上制限 | 気管が固定され上方移動が阻害される | カフ圧を最小有効圧に設定 | | ②声門下圧低下 | 気管狭窄による気流減少 | 痰吸引の頻回実施 | | ③食道通過阻害 | 咽頭の圧迫による狭窄 | VF検査で通過タイミング確認 | | ④感覚鈍麻 | 気管粘膜の持続圧迫 | 誤嚥のサイン(むせ)が出にくくなることに注意 | | ⑤痰喀出力低下 | 呼気流の減弱 | 定期的な気管切開チューブの交換・清潔管理 | **重要な臨床知識**: - **「気管切開術単独では誤嚥を防止しない」** —— 気管切開は呼吸確保が目的。むしろ嚥下機能への悪影響を複数招くため、嚥下リハ(体位工夫・訓練など)や定期的な精密検査(VF・VE)が必須です - **カフ圧管理**:カフ圧が高すぎると気管粘膜への圧迫(虚血・潰瘍)が進行し、感覚喪失が加速します。一般的に最小有
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