PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第44回 理学療法士国家試験 午前 第5問

理学療法評価学第44回午前

第44回 理学療法士国家試験 午前 第5問(理学療法評価学)の正答は 3 です。図では腹臥位の被検者が、左上肢を肩関節伸展・内転・内旋位(手を背中の上に置く)にし、肘を屈曲して保持しています。

問題
Kendall の筋力テスト法を図に示す。肩関節内転筋力の十分強い被検査者が腹臥位で図のように左側上肢を保持する。検査者は矢印の方向に力を加えて抵抗できるかを調べる。検査している筋はどれか。
第44回午前第5問 図
  1. 1. 棘上筋
  2. 2. 前鋸筋
  3. 3. 菱形筋
  4. 4. 三角筋中部線維
  5. 5. 僧帽筋下部線維

正答:3番

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解説
■ 正答:3番 — 菱形筋

図では腹臥位の被検者が、左上肢を肩関節伸展・内転・内旋位(手を背中の上に置く)にし、肘を屈曲して保持しています。検査者は一方の手で肩甲骨内側縁を触れ、もう一方の手で上腕遠位を持って抵抗を加えています。これは肩甲骨を内転・挙上・下方回旋させる菱形筋のKendall法です。上腕を介して肩甲骨に力を伝えるため、前提として肩関節内転筋力が十分強い必要があります。


【各選択肢の解説】

1. 棘上筋
❌ 誤り。棘上筋は肩関節外転の初期を担う腱板筋で、座位で肩関節を外転させて抵抗を加えるか、内旋・水平内転位で挙上させるempty canテストで評価します。
2. 前鋸筋
❌ 誤り。前鋸筋は肩甲骨の外転・上方回旋筋です。背臥位や座位で上肢を約90°屈曲位に保ち、肩甲骨を前方へ突き出させて抵抗します。麻痺すると翼状肩甲を呈します。
3. 菱形筋
✅ 正しい。肩甲骨の内転・挙上・下方回旋を担います。腹臥位で上肢を背中に回した肢位から肩甲骨を内転・挙上させ、検査者が上腕を介して抵抗するのがKendall法です。
4. 三角筋中部線維
❌ 誤り。座位で肩関節90°外転位を保持させ、上腕遠位に内転方向の抵抗を加えて評価します。腹臥位で背中に手を回した肢位では働きません。
5. 僧帽筋下部線維
❌ 誤り。腹臥位で上肢を頭側斜め上方(約145°)に挙上させ、肩甲骨の内転・下制に抵抗して評価します。図の肢位(肩伸展・内転位)とは異なります。

【試験対策ポイント】

肩甲骨周囲筋は「どの方向に肩甲骨を動かすか」で整理すると混乱しません。

  • 菱形筋:内転+挙上下方回旋(腹臥位・手を背中に回す肢位)
  • 僧帽筋中部:内転(水平方向)
  • 僧帽筋下部:内転+下制+上方回旋(腹臥位・斜め上方挙上)
  • 僧帽筋上部:挙上
  • 前鋸筋:外転+上方回旋(麻痺で翼状肩甲)
菱形筋のテストに「肩関節内転筋力が十分強い被検査者」という条件が付くのは、上腕を肩甲骨のてこ(レバーアーム)として使うためです。

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