PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第44回 理学療法士国家試験 午後 第22問

生理学第44回午後

第44回 理学療法士国家試験 午後 第22問(生理学)の正答は 3 です。神経の伝導速度は線維が太いほど速くなります。

問題
神経伝導で正しいのはどれか。
  1. 1. 体温の低い方が速い。
  2. 2. 髄鞘のない方が速い。
  3. 3. 線維直径の太い方が速い。
  4. 4. 線維が長いと活動電位は減衰する。
  5. 5. 線維の途中を刺激すると刺激部位から片側性に伝導する。

正答:3番

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解説
■ 正答:3番 — 線維直径の太い方が速い。

神経の伝導速度は線維が太いほど速くなります。有髄線維では伝導速度(m/秒)が直径(μm)のおよそ6倍になるという経験則があり、最も太いAα線維では70~120m/秒に達します。


【各選択肢の解説】

1. 体温の低い方が速い。
❌ 誤り。温度が高いほどイオンチャネルの動きが速まり伝導速度は上昇します。低体温では伝導速度が低下するため、神経伝導検査では皮膚温を32度以上に保つ必要があります。
2. 髄鞘のない方が速い。
❌ 誤り。髄鞘があると跳躍伝導(ランビエ絞輪から絞輪へ興奮が跳ぶ)が起こり、無髄線維より格段に速く伝わります。脱髄疾患(Guillain-Barre症候群、多発性硬化症)で伝導速度が低下するのはこのためです。
3. 線維直径の太い方が速い。
✅ 正しい。太い線維ほど軸索内抵抗が小さく、局所電流が遠くまで届くため速くなります。
4. 線維が長いと活動電位は減衰する。
❌ 誤り。活動電位は全か無かの法則に従い、途中で振幅が減衰することなく(不減衰伝導)末端まで伝わります。距離とともに減衰するのは受容器電位やシナプス後電位などの緊張電位です。
5. 線維の途中を刺激すると刺激部位から片側性に伝導する。
❌ 誤り。神経線維の途中を刺激すると興奮は両方向へ(両側性に)伝導します。生体で一方向にしか伝わらないようにみえるのは、シナプスでの伝達が一方向性であるためです。

【試験対策ポイント】

神経伝導の3原則は(1)両側性伝導(2)絶縁性伝導(3)不減衰伝導です。伝導速度を規定する因子は線維直径・髄鞘の有無・温度の3つで、いずれも「太い・有髄・高温ほど速い」と覚えます。臨床では神経伝導検査で、脱髄では伝導速度低下と遠位潜時延長、軸索障害では振幅低下が主体となる点が重要です。

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