PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第44回 理学療法士国家試験 午後 第44問

運動学第44回午後

第44回 理学療法士国家試験 午後 第44問(運動学)の正答は 4・5 です。安静呼気は肺と胸郭の弾性による受動的な現象で筋活動をほとんど要しませんが、努力呼気では腹筋群(腹直筋・腹横筋・内外腹斜筋)が腹圧を高めて横隔膜を押し上げ、さらに内肋間筋が肋骨を引き下げます。

問題
筋と呼吸運動との組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
  1. 1. 胸鎖乳突筋 ―― 安静吸気
  2. 2. 前斜角筋 ―― 安静呼気
  3. 3. 内肋間筋横部 ―― 努力吸気
  4. 4. 腹直筋 ―― 努力呼気
  5. 5. 腹横筋 ―― 努力呼気

正答:4・5番

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解説
■ 正答:4・5番 — 腹直筋 ―― 努力呼気/腹横筋 ―― 努力呼気

安静呼気は肺と胸郭の弾性による受動的な現象で筋活動をほとんど要しませんが、努力呼気では腹筋群(腹直筋・腹横筋・内外腹斜筋)が腹圧を高めて横隔膜を押し上げ、さらに内肋間筋が肋骨を引き下げます。咳嗽の強さもこの腹筋群の力に依存します。


【各選択肢の解説】

1. 胸鎖乳突筋 ―― 安静吸気
❌ 誤り。胸鎖乳突筋は努力吸気の補助筋です。安静吸気を担うのは横隔膜(約70%)と外肋間筋です。
2. 前斜角筋 ―― 安静呼気
❌ 誤り。斜角筋群は第1・2肋骨を挙上する努力吸気の補助筋で、呼気には働きません。
3. 内肋間筋横部 ―― 努力吸気
❌ 誤り。内肋間筋の骨間部(横部)は肋骨を引き下げる努力呼気筋です(軟骨間部=傍胸骨部のみ吸気に働きます)。
4. 腹直筋 ―― 努力呼気
✅ 正しい。腹圧を上げて横隔膜を押し上げます。
5. 腹横筋 ―― 努力呼気
✅ 正しい。最も深層にある腹筋で、腹腔内圧を高め強制呼気・咳嗽に大きく貢献します。

【試験対策ポイント】

呼吸筋は「安静か努力か」「吸気か呼気か」の2軸で整理します。

区分吸気呼気
安静時横隔膜・外肋間筋筋活動なし(肺胸郭の弾性で受動的)
努力時+胸鎖乳突筋・斜角筋・大胸筋・僧帽筋などの補助筋内肋間筋(骨間部)・腹筋群(腹直筋・腹横筋・腹斜筋)

臨床への応用:COPDでは呼吸補助筋が過剰に働き肩がすくむ姿勢となるため、口すぼめ呼吸・腹式呼吸・前傾座位(横隔膜が働きやすい)を指導します。頸髄損傷(C4以下)では横隔膜が残っても腹筋が麻痺するため咳嗽力が落ち、徒手による咳介助(腹部圧迫)が排痰に必須になります。

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