PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第46回 理学療法士国家試験 午後 第55問

解剖学第46回午後

第46回 理学療法士国家試験 午後 第55問(解剖学)の正答は 5 です。顔面神経は末梢神経でありながら、頭蓋外に出るまで神経周膜で仕切られた神経束(funiculus)への区分が乏しく、単一束に近い構造をとります。

問題
神経再生の過程で迷入再生をきたしやすい顔面神経の解剖学的特徴はどれか。
  1. 1. 耳下腺内を走行する。
  2. 2. 支配筋に筋紡錘がない。
  3. 3. 骨性神経管内を走行する。
  4. 4. 多数の運動終板を形成する。
  5. 5. 神経束構造が欠落している。

正答:5番

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解説
■ 正答:5番 — 神経束構造が欠落している。

顔面神経は末梢神経でありながら、頭蓋外に出るまで神経周膜で仕切られた神経束(funiculus)への区分が乏しく、単一束に近い構造をとります。そのため軸索が変性後に再生する際に本来と違う枝=違う表情筋へ向かって伸びやすく、迷入再生(病的共同運動・ワニの涙)を高頻度に生じます。


【各選択肢の解説】

1. 耳下腺内を走行する。
❌ 誤り。耳下腺内で枝分かれするのは事実ですが、これは耳下腺手術での損傷リスクに関わる特徴であり、再生軸索の行き先を誤らせる要因ではありません。
2. 支配筋に筋紡錘がない。
❌ 誤り。表情筋に筋紡錘が乏しいのは事実ですが、これは固有感覚のフィードバックの問題で、軸索の迷入とは無関係です。
3. 骨性神経管内を走行する。
❌ 誤り。顔面神経管内を走るため浮腫で絞扼されやすく麻痺を起こしやすい、という発症要因の説明にはなりますが、迷入再生そのものの理由ではありません。
4. 多数の運動終板を形成する。
❌ 誤り。運動終板の数は、再生軸索が「どの筋へ向かうか」を決める要因になりません。
5. 神経束構造が欠落している。
✅ 正しい。束というガイドがないため再生軸索が別の枝へ紛れ込み、迷入再生(共同運動)が起こります。

【試験対策ポイント】

  • 迷入再生(aberrant regeneration)=再生軸索が本来と異なる標的に到達すること。顔面神経麻痺後の代表的な後遺症です。
  • 臨床像:病的共同運動(閉眼すると口角が動く/口を動かすと眼が閉じる)、ワニの涙症候群(食事中の流涙=唾液腺へ向かうべき線維が涙腺へ迷入)。
  • 理学療法上の注意:回復期に大きな随意運動・強い電気刺激・過度な筋力増強を避ける。鏡を用いた選択的な低強度運動(ミラーバイオフィードバック)とストレッチ・マッサージが基本です。
  • 鑑別:末梢性顔面神経麻痺(Bell麻痺)は患側の額のしわ寄せができないのに対し、中枢性はしわ寄せが可能(前頭筋は両側支配)。
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