PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第47回 理学療法士国家試験 午前 第82問

リハビリテーション医学第47回午前

第47回 理学療法士国家試験 午前 第82問(リハビリテーション医学)の正答は 2 です。長期臥床(不動)は全身のあらゆる系に廃用性変化をもたらします。

問題
長期臥床による不動化の影響として正しいのはどれか。
  1. 1. 筋節長の延長
  2. 2. 疼痛閾値の低下
  3. 3. 関節不安定性の出現
  4. 4. 脊髄前角細胞数の減少
  5. 5. 血中カルシウム濃度の低下

正答:2番

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解説
■ 正答:2番 — 疼痛閾値の低下

長期臥床(不動)は全身のあらゆる系に廃用性変化をもたらします。皮膚・筋・関節への感覚入力が減り、また不動そのものによる疼痛過敏(不動性疼痛過敏)が生じるため、わずかな刺激でも痛みとして感じやすくなる=疼痛閾値が低下します。長期臥床患者で他動運動時にすぐ痛みを訴えるのはこのためです。


【各選択肢の解説】

1. 筋節長の延長
❌ 誤り。短縮位で不動にされると筋節(サルコメア)の数が減少して筋が短縮します。逆に伸張位で固定すれば筋節数は増加します。臥床では股関節・膝関節屈曲位や足関節底屈位で固定されやすく、短縮方向へ変化します。
2. 疼痛閾値の低下
✅ 正しい。不動により侵害受容器の感作や感覚入力の減少が起こり、痛みを感じやすくなります。廃用症候群における「動かすと痛い→さらに動かさない」という悪循環の一因です。
3. 関節不安定性の出現
❌ 誤り。不動で起こるのは関節包・靱帯の短縮や滑膜の癒着による関節可動域制限(拘縮)であり、不安定性ではありません。不安定性は靱帯損傷や麻痺による筋支持性低下で生じます。
4. 脊髄前角細胞数の減少
❌ 誤り。廃用による筋萎縮は筋線維(とくにタイプI線維)の萎縮であり、運動ニューロンそのものが脱落するわけではありません。前角細胞の減少はポリオやALSなど神経原性疾患の所見です。
5. 血中カルシウム濃度の低下
❌ 誤り。荷重刺激がなくなると骨吸収が亢進して骨からカルシウムが放出され、高カルシウム血症・高カルシウム尿症をきたします。尿路結石のリスクが上がるのはこのためです。

【試験対策ポイント】

廃用症候群(不動による変化)は「増える/減る」の方向で暗記します。

  • :筋力低下(1週で10〜15%)・筋萎縮・筋節数の減少
  • :骨密度低下・血中および尿中カルシウムの増加
  • 関節:拘縮(関節可動域制限)
  • 循環:起立性低血圧・安静時心拍数増加・1回拍出量減少・循環血漿量減少
  • 呼吸:肺活量低下・換気血流比不均等・沈下性肺炎
  • 神経・精神:疼痛閾値の低下・見当識障害・抑うつ・平衡機能低下
  • 消化・泌尿:便秘・食欲低下・尿路結石・尿路感染
とくに「骨が溶けるからカルシウムは上がる」「筋節は短くなる(数が減る)」の2点は逆に覚えている受験生が多く、狙われやすい引っかけです。予防は早期離床が原則で、臥床を続けざるを得ない場合でも良肢位保持・他動運動・等尺性収縮・チルトテーブルによる立位負荷を組み合わせます。

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