PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第47回 理学療法士国家試験 午前 第83問

神経内科学第47回午前

第47回 理学療法士国家試験 午前 第83問(神経内科学)の正答は 1 です。多系統萎縮症(MSA)は、①自律神経障害(起立性低血圧・排尿障害)、②パーキンソニズム(動作緩慢・筋強剛・姿勢反射障害)、③小脳性運動失調 の3つが様々な組合せで現れる変性疾患です。

問題
発症早期の多系統萎縮症で頻度が低いのはどれか。
  1. 1. 認知症
  2. 2. 尿失禁
  3. 3. 動作緩慢
  4. 4. 起立性低血圧
  5. 5. 姿勢反射障害

正答:1番

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解説
■ 正答:1番 — 認知症

多系統萎縮症(MSA)は、①自律神経障害(起立性低血圧・排尿障害)、②パーキンソニズム(動作緩慢・筋強剛・姿勢反射障害)、③小脳性運動失調 の3つが様々な組合せで現れる変性疾患です。大脳皮質は比較的保たれるため、発症早期の認知症は頻度が低く、むしろ従来は診断の除外項目とされてきました。


【各選択肢の解説】

1. 認知症
✅ 正しい(=頻度が低いもの)。MSAで障害されるのは線条体・黒質・オリーブ核・橋核・小脳・脊髄中間外側核などで、大脳皮質は比較的保たれます。進行期に軽度の認知機能低下がみられることはありますが、早期には目立ちません。
2. 尿失禁
❌ 誤り。頻度が高い症状です。仙髄のOnuf核や脊髄自律神経系の障害により、早期から排尿障害(頻尿・尿意切迫・残尿・失禁)が出現します。診断上も重要な所見です。
3. 動作緩慢
❌ 誤り。頻度が高い症状です。線条体黒質変性型(MSA-P)ではパーキンソニズムが前面に出ます。ただしL-ドパの効果は乏しい点がParkinson病との違いです。
4. 起立性低血圧
❌ 誤り。頻度が高い症状です。脊髄中間外側核(交感神経節前ニューロン)の変性により、立位で収縮期血圧が著明に低下します。理学療法では起立・歩行練習時の血圧測定と段階的な立位訓練が必須です。
5. 姿勢反射障害
❌ 誤り。頻度が高い症状です。パーキンソニズムと小脳失調の両方から早期に体幹の平衡が崩れやすく、転倒が多くなります。

【試験対策ポイント】

MSAは3つの病型に分けられ、それぞれ旧病名と対応しています。

  • MSA-C:小脳性運動失調が主体(旧・オリーブ橋小脳萎縮症=OPCA)
  • MSA-P:パーキンソニズムが主体(旧・線条体黒質変性症=SND)
  • 自律神経障害が主体の型:旧・Shy-Drager症候群
日本ではMSA-C(小脳型)が最多です。理学療法上の要点は、①起立性低血圧への対応(弾性ストッキング・腹帯・段階的なギャッジアップ・血圧モニタリング)、②失調に対する重錘負荷や弾性緊縛帯、Frenkel体操、③声帯外転障害による睡眠時喘鳴・突然死のリスク管理、の3つ。「早期の認知症=MSAらしくない」「幻視+認知の変動=Lewy小体型認知症」「早期からの人格変化=前頭側頭型認知症」と、疾患ごとの“らしさ”で切り分けると得点しやすくなります。

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