PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第47回 理学療法士国家試験 午後 第30問

人間発達学第47回午後

第47回 理学療法士国家試験 午後 第30問(人間発達学)の正答は 4 です。これは誤っているものを選ぶ設問である。

問題
高齢者の筋力について誤っているのはどれか。
  1. 1. 筋断面積は経年的に減少する。
  2. 2. 上肢よりも下肢の筋力低下が大きい。
  3. 3. 筋力強化によって筋線維の肥大が期待できる。
  4. 4. タイプⅡ線維よりもタイプⅠ線維の萎縮が優位である。
  5. 5. 筋力強化の初期効果は動員される運動単位が増加することによる。

正答:4番

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解説
■ 正答:4番 — タイプⅡ線維よりもタイプⅠ線維の萎縮が優位である。

これは誤っているものを選ぶ設問である。加齢に伴う筋萎縮(サルコペニア)では、速筋であるタイプⅡ線維の萎縮が優位であり、遅筋のタイプⅠ線維は比較的保たれる。したがって4の記述が誤りで正答となる。


【各選択肢の解説】

1. 筋断面積は経年的に減少する。
✅ 正しい。筋横断面積は概ね30歳前後をピークに減少し、高齢期には筋線維数の減少と個々の線維の萎縮が同時に進行する。
2. 上肢よりも下肢の筋力低下が大きい。
✅ 正しい。抗重力筋である下肢(特に大腿四頭筋・腸腰筋)の低下が上肢より顕著で、立ち上がりや歩行の障害として現れやすい。
3. 筋力強化によって筋線維の肥大が期待できる。
✅ 正しい。高齢者でもレジスタンストレーニングによって筋線維の肥大は起こる。若年者より速度は遅いが、90歳代でも効果が報告されている。
4. タイプⅡ線維よりもタイプⅠ線維の萎縮が優位である。
❌ 誤り。実際は逆で、タイプⅡ(速筋・白筋)線維の選択的な萎縮が特徴である。このため高齢者では素早い力発揮(パワー)が筋力そのものより早期に低下し、転倒時の立ち直りが遅れる。
5. 筋力強化の初期効果は動員される運動単位が増加することによる。
✅ 正しい。トレーニング開始後の数週間は筋肥大より先に神経系の適応(運動単位の動員増加・発火頻度の上昇・共同筋の協調改善)で筋力が向上する。

【試験対策ポイント】

筋線維タイプの整理は必須。

項目タイプⅠ(遅筋・赤筋)タイプⅡ(速筋・白筋)
収縮速度遅い速い
疲労耐性高い低い
代謝有酸素(ミトコンドリア・毛細血管が豊富)解糖系
加齢の影響保たれやすい萎縮が優位
不活動・廃用萎縮しやすい(ヒラメ筋など抗重力筋)

加齢=タイプⅡが減る/廃用(不活動・不動)=抗重力筋のタイプⅠが減りやすいという対比が引っかけどころ。サルコペニアの診断では握力(男性28 kg・女性18 kg未満)、歩行速度1.0 m/秒以下、骨格筋量指数が指標として用いられる。

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