PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第47回 理学療法士国家試験 午後 第36問

義肢装具学第47回午後

第47回 理学療法士国家試験 午後 第36問(義肢装具学)の正答は 3 です。これは適切でないものを選ぶ設問である。

問題
大腿義足の膝継手の選択で適切でないのはどれか。
  1. 1. 短断端では立脚相での安定性を優先する。
  2. 2. 長断端では遊脚相でのコントロールを優先する。
  3. 3. 高齢の切断者では多軸インテリジェント膝を用いる。
  4. 4. 不整地歩行を行う場合にはイールディング機構を用いる。
  5. 5. 活動性の低い切断者ではアライメントによる安定化を図る。

正答:3番

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解説
■ 正答:3番 — 高齢の切断者では多軸インテリジェント膝を用いる。

これは適切でないものを選ぶ設問である。インテリジェント膝(空気圧・油圧のマイクロプロセッサ制御膝)は歩行速度の変化に合わせて遊脚相を自動調整する高機能膝継手で、歩行速度を積極的に変える活動性の高い切断者が適応となる。高齢者では立脚相の安定性を最優先し、固定膝や荷重ブレーキ膝などを選択するため、3が適切でない。


【各選択肢の解説】

1. 短断端では立脚相での安定性を優先する。
✅ 適切である。短断端はてこが短く股関節伸展筋による膝折れの制御が難しいため、荷重ブレーキ機構や膝軸を後方に置いた設定など、立脚相の安定性を重視する。
2. 長断端では遊脚相でのコントロールを優先する。
✅ 適切である。長断端は断端による義足の操作性が高く立脚相は安定させやすいので、歩行速度に応じた振り出しを調整する遊脚相制御(油圧・空気圧シリンダー)の適合が課題となる。
3. 高齢の切断者では多軸インテリジェント膝を用いる。
❌ 適切でない。インテリジェント膝は歩行速度の変化に追随する高活動者向けで、重量も価格も大きい。高齢者では安定性の高い単軸固定膝・荷重ブレーキ膝などが選択される。
4. 不整地歩行を行う場合にはイールディング機構を用いる。
✅ 適切である。イールディング(膝折れ制動)機構は荷重下でも膝が急に折れず、ゆっくり屈曲することを許す。坂道・階段・不整地での安全性が高まる。
5. 活動性の低い切断者ではアライメントによる安定化を図る。
✅ 適切である。膝継手軸をTKA線より後方に設定すると、荷重時に膝が伸展方向へ安定する。機構に頼らず初期アライメントで安全性を確保する基本的な方法である。

【試験対策ポイント】

大腿義足の膝継手は「立脚相の安定性」と「遊脚相の制御」の2軸で整理する。安定性を高める要素は膝軸を後方に置くアライメント、荷重ブレーキ機構、多軸(4節)リンク、固定膝。遊脚相制御は定摩擦・可変摩擦・空気圧・油圧(流体制御)の順に高機能となり、油圧やマイクロプロセッサ制御は歩行速度の変化に対応できる。

TKA線(大転子Trochanter−膝Knee−足関節Ankleを結ぶ基準線)は必ず覚える。膝軸がTKA線より後方なら安定、前方なら膝折れしやすい。

断端長では、短断端=安定性優先、長断端=機能性(遊脚相制御)優先が原則。ソケットは坐骨収納型(IRC/ICS)が主流で、四辺形ソケットより内外側の安定性に優れる。

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