PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第48回 理学療法士国家試験 午後 第18問

リハビリテーション医学第48回午後

第48回 理学療法士国家試験 午後 第18問(リハビリテーション医学)の正答は 3 です。3年前の脳梗塞は既に安定して独歩・ADL自立の状態にあり、そこへ1週間の安静臥床という明確な誘因が加わって歩行能力だけが低下しています。

問題
80歳の男性。3年前に脳梗塞による右片麻痺を発症したが、独歩は可能であり、ADLは自立していた。肺炎のため1週間の安静臥床が続いた後、伝い歩きはできるものの独歩は困難となった。最も考えられる原因はどれか。
  1. 1. 褥瘡
  2. 2. 脳梗塞の再発
  3. 3. 下肢筋力低下
  4. 4. 呼吸機能低下
  5. 5. 精神機能低下

正答:3番

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解説
■ 正答:3番 — 下肢筋力低下

3年前の脳梗塞は既に安定して独歩・ADL自立の状態にあり、そこへ1週間の安静臥床という明確な誘因が加わって歩行能力だけが低下しています。安静臥床では筋力が1週間で10〜15%程度低下するとされ、典型的な廃用症候群(不動による下肢筋力低下)と考えられます。


【各選択肢の解説】

1. 褥瘡
❌ 誤り。褥瘡の記載はありません。仮にあっても疼痛による活動制限にとどまり、「伝い歩きは可能だが独歩のみ困難」という選択的な変化を説明できません。
2. 脳梗塞の再発
❌ 誤り。再発であれば意識障害・麻痺の増悪・構音障害など新たな神経症状が出現し、伝い歩きも困難になるはずです。1週間の臥床という誘因が明らかである点とも合致しません。
3. 下肢筋力低下
✅ 正しい。1週間の安静臥床による廃用性の下肢筋力低下が最も考えられます。手すりや壁で支持すれば歩けるが支持なしでは歩けないという状態は、抗重力筋の筋力低下とそれに伴うバランス能力の低下をよく反映しています。
4. 呼吸機能低下
❌ 誤り。肺炎後に呼吸機能が低下していれば労作時の息切れやSpO₂低下が問題となるはずですが、そうした記載がなく、伝い歩きが可能である点とも矛盾します。
5. 精神機能低下
❌ 誤り。認知機能低下やせん妄を示す記載がありません。仮にあったとしても、伝い歩きは可能で独歩のみ困難という運動能力の変化を第一に説明する要因にはなりません。

【試験対策ポイント】

廃用症候群は高齢者の入院で必発の合併症で、数値を伴って問われます。

  • 筋力:1週間の安静で約10〜15%、1か月で約50%低下。回復には低下に要した期間の数倍を要します。
  • 骨:1週間で約1%の骨量減少(廃用性骨萎縮)。
  • 循環:起立性低血圧、循環血漿量の減少、深部静脈血栓症。
  • 呼吸:換気量低下と排痰困難による沈下性肺炎
  • その他:関節拘縮、褥瘡、便秘、食欲低下、抑うつ・せん妄。
特に抗重力筋(下肢伸展筋・体幹伸展筋)から先に萎縮し、遅筋(TypeI線維)が優位に萎縮します。予防の基本は早期離床で、「安静は必要最小限に」が原則です。

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