PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第48回 理学療法士国家試験 午後 第40問

運動学第48回午後

第48回 理学療法士国家試験 午後 第40問(運動学)の正答は 1 です。運動学習における転移(transfer)とは、ある課題の練習によって得た学習効果が、練習していない別の課題(あるいは別の状況・別の肢)の遂行に影響することを指します。

問題
運動学習の転移が関係していると考えられるのはどれか。
  1. 1. ゆっくりした歩行を練習した後に速い歩行が改善した。
  2. 2. 温熱療法で痙縮を軽減させた後に階段昇降動作が改善した。
  3. 3. 片麻痺患者にCI療法を行った後に麻痺側上肢の機能が向上した。
  4. 4. 椅子からの立ち上がり練習を行った後に下肢伸筋群の筋力が向上した。
  5. 5. ハムストリングスを徒手的に伸張した後にプッシュアップ動作が改善した。

正答:1番

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解説
■ 正答:1番 — ゆっくりした歩行を練習した後に速い歩行が改善した。

運動学習における転移(transfer)とは、ある課題の練習によって得た学習効果が、練習していない別の課題(あるいは別の状況・別の肢)の遂行に影響することを指します。ゆっくりの歩行という課題の練習が、練習していない速い歩行の遂行を改善させたのは、まさに転移の典型例です。


【各選択肢の解説】

1. ゆっくりした歩行を練習した後に速い歩行が改善した。
✅ 正しい。練習した課題(低速歩行)と異なる課題(高速歩行)に効果が波及しており、転移が起きたと解釈できます。
2. 温熱療法で痙縮を軽減させた後に階段昇降動作が改善した。
❌ 誤り。温熱による筋紡錘活動の抑制という一過性の生理的変化による改善で、練習に基づく学習ではありません。
3. 片麻痺患者にCI療法を行った後に麻痺側上肢の機能が向上した。
❌ 誤り。健側を拘束して麻痺側を集中的に使わせるCI療法では、練習した肢そのものが改善しています。これは転移ではなく直接的な練習効果(使用依存性の可塑性)です。
4. 椅子からの立ち上がり練習を行った後に下肢伸筋群の筋力が向上した。
❌ 誤り。反復練習に伴う筋力増強の効果であり、別課題への学習効果の波及ではありません。
5. ハムストリングスを徒手的に伸張した後にプッシュアップ動作が改善した。
❌ 誤り。ストレッチによる関節可動域・柔軟性の改善が動作を可能にしたもので、運動学習の結果ではありません。

【試験対策ポイント】

運動学習の基本用語は毎年どこかで問われます。

用語意味
転移(transfer)ある課題の学習効果が別の課題・状況・反対側の肢に波及すること
両側性転移片側の練習効果が反対側に現れること
保持(retention)練習終了後も効果が持続すること
文脈干渉効果ランダム練習は習得は遅いが保持・転移に優れる
フィードバックKR(結果の知識)とKP(パフォーマンスの知識)。頻度を下げるほうが保持に有利

「学習」といえるためには、練習・経験による比較的永続的な変化である必要があります。物理療法やストレッチによる一時的変化は学習に含めない、という線引きが解答の決め手になります。

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