PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第48回 理学療法士国家試験 午後 第41問

運動学第48回午後

第48回 理学療法士国家試験 午後 第41問(運動学)の正答は 1 です。一歩踏み出す直前には、随意運動に先立って姿勢を準備する先行随伴性姿勢調節(APA:anticipatory postural adjustment)が働きます。

問題
健常成人が開脚立位の姿勢から、素早く右足を一歩前へ踏み出そうとしている。右足が離床するまでの足圧中心点の動きに関する説明で正しいのはどれか。
  1. 1. 右に変位したのちに大きく左へ変位する。
  2. 2. 最初に左へ大きく変位して右へ少し戻る。
  3. 3. 徐々に左へ変位する。
  4. 4. 急速に左へ変位する。
  5. 5. 正中を保持している。

正答:1番

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解説
■ 正答:1番 — 右に変位したのちに大きく左へ変位する。

一歩踏み出す直前には、随意運動に先立って姿勢を準備する先行随伴性姿勢調節(APA:anticipatory postural adjustment)が働きます。右足を踏み出す場合、足圧中心(COP)はまず踏み出す側である右後方へ一瞬変位し、その反作用で身体重心を左(支持脚側)へ加速させます。その後COPは支持脚である左へ大きく移動し、右足が離床します。


【各選択肢の解説】

1. 右に変位したのちに大きく左へ変位する。
✅ 正しい。踏み出し側へCOPを一瞬ずらして重心を支持脚側へ「押し出す」のがAPAの本質で、その後COPは支持脚(左)へ大きく移動します。
2. 最初に左へ大きく変位して右へ少し戻る。
❌ 誤り。順序が逆です。最初に左へ動かしてしまうと重心を左へ加速させる力が得られず、踏み出しが遅れます。
3. 徐々に左へ変位する。
❌ 誤り。「素早く」踏み出す課題では、単純な緩徐な重心移動ではなくAPAによる逆方向の予備的変位が必ず生じます。
4. 急速に左へ変位する。
❌ 誤り。右への予備的変位を経ずにいきなり左へ動くことはありません。この選択肢はAPAを無視した記述です。
5. 正中を保持している。
❌ 誤り。COPが正中にとどまったままでは、片脚を離床させるための重心移動が起こりません。

【試験対策ポイント】

APAは「動く前に、動きと逆向きに力を作る」と覚えるのが最短です。

課題APAで最初に起こること
右足を前へ踏み出すCOPが右(踏み出し側)へ変位→重心が左へ加速
立位で腕を素早く前方挙上三角筋より先に腓腹筋・ハムストリングスが活動
物を引く動作上肢の活動に先立って下腿・体幹筋が活動

パーキンソン病や脳卒中片麻痺ではこのAPAが減弱・遅延するため、すくみ足や一歩目の遅れ、転倒が起こります。歩行開始時のCOP軌跡(踏み出し側→支持側)は歩行分析の定番グラフなので、図で問われても答えられるようにしておきましょう。

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