PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第48回 理学療法士国家試験 午後 第99問

臨床心理学第48回午後

第48回 理学療法士国家試験 午後 第99問(臨床心理学)の正答は 4・5 です。神経性無食欲症(神経性やせ症)は、著しいやせにもかかわらず「自分は太っている」と感じるボディイメージ(身体像)のゆがみを中核症状とします。

問題
神経性無食欲症について正しいのはどれか。2つ選べ。
  1. 1. 骨密度は増加する。
  2. 2. 消化管の吸収不全がある。
  3. 3. 食物に対する関心は低下する。
  4. 4. 自ら誘発する嘔吐がみられる。
  5. 5. ボディイメージのゆがみがある。

正答:4・5番

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解説
■ 正答:4・5番 — 自ら誘発する嘔吐がみられる/ボディイメージのゆがみがある

神経性無食欲症(神経性やせ症)は、著しいやせにもかかわらず「自分は太っている」と感じるボディイメージ(身体像)のゆがみを中核症状とします。排出型では体重増加を防ぐために自己誘発性嘔吐や下剤・利尿薬の乱用がみられます。


【各選択肢の解説】

1. 骨密度は増加する。
❌ 誤り。低栄養とエストロゲン分泌低下(無月経)により骨密度は低下し、若年でありながら骨粗鬆症・疲労骨折をきたします。
2. 消化管の吸収不全がある。
❌ 誤り。消化管の器質的な吸収障害はなく、摂食量の制限そのものが低栄養の原因です。ここが吸収不良症候群など身体疾患による低栄養との決定的な違いです。
3. 食物に対する関心は低下する。
❌ 誤り。食物やカロリーへの関心はむしろ亢進しています。栄養表示を細かく調べる、料理をして家族に食べさせる、レシピを集めるといった行動がよくみられます。「食べたくない」のではなく「食べることを禁じている」状態です。
4. 自ら誘発する嘔吐がみられる。
✅ 正しい。むちゃ食い・排出型では自己誘発性嘔吐がみられ、反復により手背の吐きダコ(Russell徴候)、う歯・エナメル質侵食、低カリウム血症をきたします。
5. ボディイメージのゆがみがある。
✅ 正しい。やせているにもかかわらず自分を太っていると知覚する体重・体型の認知のゆがみが診断の中核であり、病識の欠如につながります。

【試験対策ポイント】

神経性無食欲症は思春期〜青年期の女性に好発し、標準体重の-20%以上のやせ、体重増加への強い恐怖、ボディイメージのゆがみ、無月経が診断のポイントです。

身体合併症は理学療法上のリスク管理に直結します。低体温・徐脈・低血圧、無月経、骨粗鬆症、低カリウム血症(不整脈の原因)、貧血、末梢浮腫、産毛の増加などが生じます。とくに急激な栄養再開時に起こるリフィーディング症候群(低リン血症による心不全・不整脈・意識障害)は致死的です。

過活動(過度の運動で消費カロリーを増やそうとする)が本症の特徴の一つであるため、リハビリテーションでは運動を治療的に「制限する」視点が必要になります。体重・全身状態が安定するまでは活動量を管理し、体力向上より生活リズムの安定と対人交流の回復を優先します。神経性大食症(過食症)との違いは、無食欲症は著しい低体重を呈するのに対し、大食症は体重が正常範囲内にあることが多い点です。

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