STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第15回 言語聴覚士国家試験 第110問

リハ医学第15回
56歳の男性。高血圧性視床出血発症後5日目。意識清明。言語障害がある。右片麻痺があり、上肢は重度で動かず弛緩している。下肢については臥位で膝伸展位のまま挙上もできるが、足首はよく動かない。 この症例の現時点の対応で誤っているのはどれか。
  1. 1.座位訓練を実施する。
  2. 2.胃瘻を増設する。 ✓
  3. 3.肩関節亜脱臼防止を行う。
  4. 4.失語症のスクリーニングテストを行う。
  5. 5.回復期リハビリテーション病棟への転棟・転院を検討する。

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — 胃瘻を増設する。 発症後5日目で意識清明であり、まだ経口摂取の可能性を十分に検討していない段階です。胃瘻は「長期経管栄養が必要と判断された場合」の選択肢であり、急性期の現時点では時期尚早です。むしろ嚥下機能評価を先に行い、経口摂取の可能性を探るべきです。 --- 【各選択肢の解説】 1. 座位訓練を実施する。 ✅ 正しい。発症5日目で意識清明であれば、早期座位訓練は重要です。体位変換による二次障害予防、循環動態改善、心理的改善につながります。弛緩性麻痺の段階でも座位耐性を高めることはリハビリ開始に欠かせません。 2. 胃瘻を増設する。 ❌ 誤り。発症5日目は急性期であり、嚥下機能が安定していない段階です。胃瘻造設は「保存的治療で経口摂取が困難と判断される場合」であり、一般的には発症2~3週間以降の判断が標準的です。この時点では経鼻胃管栄養などで対応し、嚥下スクリーニング・嚥下造影検査(VF)で経口摂取の可能性を十分評価すべきです。 3. 肩関節亜脱臼防止を行う。 ✅ 正しい。上肢重度麻痺(弛緩性)で挙上不可の状態は肩関節亜脱臼のリスクが高いです。ポジショニング(クッション挿入)、肩支帯装具(アームスリング)、訓練による筋力改善が必要です。急性期からの予防は重要です。 4. 失語症のスクリーニングテストを行う。 ✅ 正しい。「言語障害がある」と明記されています。脳卒中後失語症は多くの場合、標準失語症検査(SLTA)などのスクリーニング検査を発症数日以内に実施し、言語機能と予後予測、リハビリ計画立案に役立てます。 5. 回復期リハビリテーション病棟への転棟・転院を検討する。 ✅ 正しい。急性期病棟(発症直後~2週間程度)を経て、発症2~3週間後に回復期リハ病棟への転棟が標準的です。この時点で転棟・転院を「検討」することは適切な流れです。 --- 【試験対策ポイント】 脳卒中急性期(発症1~2週間)の対応フロー | 時期 | 主な対応 | |---|---| | 発症~3日 | ICU管理、バイタル安定化、脳浮腫対策 | | 4~7日 | **早期リハ開始**(座位・立位訓練)、スクリーニング検査 | | 1~2週間 | 嚥下評価、経口摂取判定、回復期転棟準備 | | 2週間~ | 回復期リハ病棟本格開始 | 胃瘻造設の時期(重要否定知識) - 「急性期の一律対応」ではない - 嚥下評価+試験的摂取で判定 - 発症後2~3週間が一般的目安 - 脳卒中ガイドラインでも「早期造設」は推奨されない - 経鼻胃管で栄養管理しながら回復を待つ 肩関節亜脱臼とリスク因子 - リスク:上肢重度麻痺+弛緩性+肩の支持筋力喪失 - 予防:早期からのポジショニング、装具装着 - 本症例:「右上肢重度
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