第15回 言語聴覚士国家試験 第136問
音声学第15回
国際音声記号(IPA)の母音の分類で考慮されているのはどれか。
a.構音様式
b.声の有無
c.舌と口蓋との距離
d.円唇性
e.帯気性
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — c,d
母音の分類は、構音部位や調音様式ではなく、舌の前後位置、舌の高さ(口蓋との距離)、唇の形(円唇性)の3つの要素を基準としています。国際音声記号(IPA)では、この物理的特性に基づいて母音を体系的に分類しており、選択肢cとdがこれに該当します。
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【各選択肢の解説】
a. 構音様式
❌ 誤り。構音様式(鼻音化、側音化など)は子音の分類に使用される軸です。母音は鼻腔を経由しない限り、構音様式で分類されません。母音は通常、自由な気流通路で産生されるため、この要素は母音分類の基準ではありません。
b. 声の有無
❌ 誤り。母音は本質的に声帯振動を伴う有声音です。すべての母音が有声であるため、「有声/無声」の区別は母音分類の基準にはなりません。むしろ子音の分類に用いられる重要な軸です。
c. 舌と口蓋との距離
✅ 正しい。舌の高さ(舌が口蓋に接近する程度)は母音分類の最重要要素です。高母音(i,u)と低母音(a,ɑ)は、この距離の違いで区別されます。IPA台形図の縦軸がこの要素を表しています。
d. 円唇性
✅ 正しい。唇の形(丸める/丸めない)は母音の音色を決定する重要な要素です。例えば、i と y、u と ø などは、同じ舌位置でも円唇性の違いで区別されます。IPA分類では円唇母音と非円唇母音を区別しています。
e. 帯気性
❌ 誤り。帯気性(有気/無気)は子音、特に破裂音の分類に使用される軸です。母音の産生には帯気という概念が適用されないため、母音分類の基準ではありません。
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【試験対策ポイント】
母音分類の3つの軸:
| 分類軸 | 具体例 |
|---|---|
| 舌の高さ(口蓋との距離) | 高母音i,u ↔ 中母音e,o ↔ 低母音a,ɑ |
| 舌の前後位置 | 前母音e,i ↔ 中母音ə ↔ 後母音o,u |
| 円唇性 | 非円唇i,a ↔ 円唇y,ɔ |
子音分類の軸(これと区別する):
| 分類軸 | 具体例 |
|---|---|
| 調音部位 | 両唇,歯,歯茎など |
| 構音様式 | 破裂,摩擦,鼻音など |
| 声の有無 | 有声/無声 |
| 帯気性 | 有気/無気 |
頻出の紛らわしい点:
- 「舌と口蓋との距離」と「舌の高さ」は同一概念
- IPA台形図の縦軸=舌の高さ、横軸=舌の前後位置
- 母音に「構音様式」「帯気性」は不適用(子音の概念)
- すべての母音は有声なので「声の有無」で分類しない