第15回 言語聴覚士国家試験 第140問
聴覚心理学第15回
正しいのはどれか。
- 1.感音性難聴者の障害は線形増幅で対処できる。
- 2.外有毛細胞の障害を持つ聴覚障害者の聴覚フィルタの帯域幅は健聴者に比べて広い。 ✓
- 3.補充現象は聴覚フィルタの特性とは関係ない。
- 4.感音性難聴者の障害は聴覚フィルタのゲインの低下である。
- 5.聴覚は障害によって健康な状態の線形応答から非線形応答に変わる。
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 外有毛細胞の障害を持つ聴覚障害者の聴覚フィルタの帯域幅は健聴者に比べて広い。
感音性難聴(特に外有毛細胞障害)では、聴覚フィルタの周波数選択性(周波数弁別能)が低下し、フィルタの帯域幅が拡大します。これは補充現象が生じる神経生理学的基盤であり、聴覚心理学における重要な概念です。
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【各選択肢の解説】
1. 感音性難聴者の障害は線形増幅で対処できる。
❌ 誤り。感音性難聴、特に高度な難聴や補充現象を伴う場合、聴覚フィルタの非線形応答の障害が含まれるため、単純な線形増幅では適切な補聴が困難です。周波数別の圧縮処理などの非線形処理が必要とされます。
2. 外有毛細胞の障害を持つ聴覚障害者の聴覚フィルタの帯域幅は健聴者に比べて広い。
✅ 正しい。外有毛細胞は聴覚フィルタの周波数選択性を高める働きをしているため、その障害により帯域幅が拡大(フィルタ特性が低下)します。これは補充現象や周波数弁別閾値の上昇と関連します。
3. 補充現象は聴覚フィルタの特性とは関係ない。
❌ 誤り。補充現象(同じ感覚レベルでも刺激レベルが上がると異なる周波数成分の影響が増す)は、聴覚フィルタの帯域幅拡大と直接関連しています。フィルタ帯域幅の拡大が補充現象の発現メカニズムの一部です。
4. 感音性難聴者の障害は聴覚フィルタのゲインの低下である。
❌ 誤り。感音性難聴では、感度低下(ゲイン低下)に加えて、フィルタの帯域幅の拡大という周波数選択性の障害が生じます。ゲイン低下のみでは補充現象や周波数弁別能の低下を説明できません。
5. 聴覚は障害によって健康な状態の線形応答から非線形応答に変わる。
❌ 誤り。むしろ正常な聴覚は非線形応答(外有毛細胞による能動的な周波数選択性)を示し、感音性難聴(外有毛細胞障害)ではこの非線形応答が失われて、より線形応答に近づきます。因果関係が逆です。
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【試験対策ポイント】
外有毛細胞と聴覚フィルタの関係
| 特性 | 健聴者(外有毛細胞正常) | 感音性難聴者(外有毛細胞障害) |
|---|---|---|
| 周波数選択性 | 高い(シャープ) | 低い(鈍い) |
| 聴覚フィルタ帯域幅 | 狭い | 広い |
| 応答特性 | 非線形応答 | より線形応答に近い |
| 感度 | 正常 | 低下 |
| 周波数弁別閾値 | 良好 | 悪化 |
| 補充現象 | なし/軽微 | あり(著明) |
重要ポイント
- 「外有毛細胞=周波数選択性を高める能動的機構」という認識が必須
- 感音性難聴では「ゲイン低下+帯域幅拡大」の両方が起こる
- 補充現象は帯域幅拡大と不可分な関係
- 正常聴覚の非線