第15回 言語聴覚士国家試験 第141問
言語学第15回
日本語(共通語)のアクセントについて適切なのはどれか。
- 1.1形態素に1個のアクセント核が現れる。
- 2.複合語では前部要素にアクセント核が現れることが多い。
- 3.4モーラ動詞には5種類のアクセント型が存在する。
- 4.受身の形態素それ自体はアクセントを持たない。 ✓
- 5.「日」と「火」のアクセントは同じである。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 受身の形態素それ自体はアクセントを持たない。
受身を表す接尾辞「-られる」は独立したアクセント核を持たず、先行する用言のアクセント型に従って発音される。つまり、アクセント的には付属的な要素であり、複合的な音韻体系の中で先行要素の規則に統制される。これが言語学的に重要な特徴であり、アクセント体系の構造を理解する上で不可欠な知識です。
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【各選択肢の解説】
1. 1形態素に1個のアクセント核が現れる。
❌ 誤り。形態素単独では必ずしもアクセント核を持つとは限らない。特に接尾辞(受身の「-られる」、使役の「-させる」など)や接頭辞はアクセント核を持たないものが多く、複合語や屈折形で初めてアクセント型が決定される。
2. 複合語では前部要素にアクセント核が現れることが多い。
❌ 誤り。複合語のアクセント核は後部要素に現れることが圧倒的に多い。例:「机の上」「山の頂上」など。前部要素にアクセント核が現れるのはむしろ例外的である。
3. 4モーラ動詞には5種類のアクセント型が存在する。
❌ 誤り。4モーラ動詞には原則として4種類のアクセント型が存在する(0型・1型・2型・3型)。5種類というのは誤った数値。モーラ数とアクセント型の種類の関係は厳密に定まっており、この区別は試験頻出です。
4. 受身の形態素それ自体はアクセントを持たない。
✅ 正しい。受身を表す接尾辞「-られる」はアクセント核を持たない形態素である。そのため、受身形全体のアクセント型は先行する用言のアクセント型に依存する。これは日本語アクセント体系における形態素の分類に関わる重要な知識。
5. 「日」と「火」のアクセントは同じである。
❌ 誤り。「日」(ひ)は高起で始まる型、「火」(ひ)は低起で始まる型と異なるアクセント型を持つ。単独音では区別が難しい場合もありますが、複合語形成時や文脈依存で明確に区別されるため、アクセント型は異なります。
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【試験対策ポイント】
| 項目 | 特徴 |
|---|---|
| 形態素のアクセント性 | 自立形態素:アクセント核を持つ。付属形態素:アクセント核を持たないことが多い |
| 複合語のアクセント | 後部要素にアクセント核が現れるケースが圧倒的(例外:東京駅など) |
| Nモーラ語のアクセント型数 | 原則としてN+1種類(0型~N型)。4モーラなら4種類 |
| 受身・使役 | アクセント的には付属的。先行用言の規則に従う |
| 同形異音(「日」「火」など) | アクセント型で区別される代表例。単語レベルでは明確に異なる |
重要:受身・使役・その他の接尾辞がアクセント核を持たない点は、試験で頻出のポイント。形態素的なアクセント性の判定が問われる典型的な出題形式です。