STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第15回 言語聴覚士国家試験 第169問

言語発達障害学第15回
小学3年生の男児。 主訴は「読み書きができない」。IQは105。実施すべき検査はどれか。 a.心理教育プロフィール三訂版(Psychoeducational Profile Third Edition) b.CARS(Childhood Autism Rating Scale) c.Rapid Automatized Naming Test d.単語逆唱課題 e.reading-test 1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e

正答:5番

解説
■ 正答:5番 — c,d,e 限局性学習障害(LD)の診断には、知的能力が正常範囲でありながら特定の学習領域(ここでは読み書き)で著しい困難があることを客観的に示す必要があります。IQ105(正常)で「読み書きができない」という主訴には、読字能力・音韻処理能力・命名速度を直接評価する検査の組み合わせが適切です。一方、ASD評価ツールはこのケースに不要です。 --- 【各選択肢の解説】 a. 心理教育プロフィール三訂版(PEP-3) ❌ 誤り。PEP-3は自閉スペクトラム症(ASD)のある幼児・学齢児の発達・行動特性を評価するツールです。IQ正常で読み書き困難を主訴とする本ケースへの適用は不適切です。 b. CARS(小児自閉症評価尺度) ❌ 誤り。CARSは自閉症のスクリーニング・重症度評価ツールです。本児の主訴は「読み書き困難」であり、自閉症が疑われる所見はないため実施すべきではありません。 c. Rapid Automatized Naming Test(RAN) ✅ 正しい。RANは文字・数字・色・絵などを素早く連続して命名する速度(命名速度)を測定します。読字障害(ディスレクシア)では音韻処理とともに命名速度の低下が特徴的であり、LD診断の重要な指標です。 d. 単語逆唱課題 ✅ 正しい。単語を逆から言う課題で、音韻処理能力(音韻意識)と音韻性作業記憶を評価します。読字障害の中核的な認知障害は音韻処理の弱さにあり、本課題はその評価に直結します。 e. reading-test(読字検査) ✅ 正しい。読字能力を直接かつ標準化された方法で測定する検査です。IQと読字水準の乖離を定量的に示すことがLD診断の要件であり、読字検査は必須です。STRAWなどが代表的です。 --- 【試験対策ポイント】 **LD(読字障害)の診断に必要な3つの評価軸** | 評価軸 | 代表的な検査 | 理由 | |---|---|---| | 読字能力の直接評価 | reading-test・STRAW | IQとの乖離を示すため | | 音韻処理能力 | 単語逆唱課題・非語反復課題 | 読字障害の中核的認知障害 | | 命名速度 | RAN(Rapid Automatized Naming) | 読字障害の独立した診断指標 | **ASD評価ツールとLD評価ツールの区別** - PEP-3・CARS → ASD評価。IQ正常+読み書き困難のみの場合は不要 - RAN・逆唱・読字検査 → LD(読字障害)評価 **「記憶する」能力はLDの定義に含まれない**(文部科学省定義:聞く・話す・読む・書く・計算する・推論する)。音韻処理・命名速度・読字の3点はセットで覚えておくと複合問題にも対応できます。
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