第15回 言語聴覚士国家試験 第170問
言語発達障害学第15回
知的障害児への言語指導で適切なのはどれか。
a.全体発達重視
b.言語表出重視
c.個別指導重視
d.細かいステップ重視
e.親への支援重視
1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — a,d,e(全体発達重視・細かいステップ重視・親への支援重視)
知的障害児への言語指導では、認知発達と言語発達が密接に関連しているため、言語スキルのみの単独指導では効果が限定的です。全体発達を基盤とした細かなステップ設定と、親や家族を巻き込んだ支援体制の構築が、長期的な発達を促進する上で最も効果的とされています。
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【各選択肢の解説】
a. 全体発達重視
✅ 正しい。知的障害児は言語発達と認知発達が並行して進むため、言語指導だけでなく、全体的な発達段階に合わせた総合的支援が必須です。認知的な準備がない段階での言語訓練は定着が困難です。
b. 言語表出重視
❌ 誤り。知的障害児への指導では「理解語彙の拡大」と「受容言語の発達」を重視すべきです。表出のみに焦点を当てると、実際の理解が伴わず応用性を欠きます。受容→表出という段階的順序が重要です。
c. 個別指導重視
❌ 誤り。個別指導は確かに一つの方法ですが、「重視」すべき主要な原則ではありません。知的障害児は集団場面での社会性発達も必要であり、個別指導と集団活動の組み合わせが効果的です。また、親や保育者との連携が可能な環境設定の方が優先されます。
d. 細かいステップ重視
✅ 正しい。知的障害児は学習速度が低下しているため、目標設定を細かく段階化し、各段階での確実な習得を重視することが不可欠です。スモールステップの積み重ねにより、動機づけ低下を防ぎます。
e. 親への支援重視
✅ 正しい。知的障害児は習得した技能の家庭への汎化が困難なため、親教育・親訓練を通じた家庭環境での一貫した支援が、言語発達を促進する上で極めて重要です。親の理解と関与が成功の鍵です。
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【試験対策ポイント】
知的障害児への言語指導の5原則比較表
| 原則 | 必要性 | 理由 |
|---|---|---|
| 全体発達重視 | 必須 | 言語と認知は不可分。認知的準備が言語習得の前提 |
| 言語表出重視 | 低 | 理解語彙→表出の段階的発達が正当。表出のみでは応用不可 |
| 個別指導重視 | 補助的 | 個別と集団のバランスが必要。親連携の方が優先度高い |
| 細かいステップ重視 | 必須 | 学習速度低下への対応。失敗経験を減らし動機づけ維持 |
| 親への支援重視 | 必須 | 家庭での汎化が困難。親訓練が長期発達の鍵 |
重要否定知識:「言語表出重視」の陥穽
- 表出言葉の増加=発達成功ではない
- 受容言語なしで表出のみ増えると、文法構造や概念理解が欠落
- 知的障害児は「意味ある表出」が困難
親支援の具体的内容:
- 親への言語発達理解の教育
- 日常生活での促進法指導
- 親の不安軽減・心理的支援